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コラム 樹海


 朝鮮半島の「南北首脳会談」がカネで買われたものだったとはー。あのニュースが流れたときに世界の人々は驚きもし、分割の歴史も終わりに近づいたと感じたものだ。この功績によって韓国の金大中前大統領はノーベル平和賞に輝き国民は沸きに沸いたけれども、あの会談のために一億ドルも北朝鮮に贈っていたのではー話にも何もなるまい▼北に渡ったのはこれだけではない。金剛山の観光開発などで財閥・現代グループが三億五千万ドルを現金で払い込んでいる。この資金も韓国政府の働きかけで政府系金融機関から無担保での不正融資である事実も検察陣の調べで判っている。何のことはないスタートからしてカネ絡みなのであり、金正日総書記の韓国訪問なぞ最初から期待するのが間違っていたと見た方がいい▼会談実現に尽力した朴智元・元文化観光相や林東源・元国家情報相らが逮捕・起訴されたが、これほどの重大事に金大中氏が関与しなかったとは言えまい。北朝鮮との融和を目指した「太陽政策」を推進した金氏である。民族の和解を求めるのに反対をする人はいない。その間隙を突いての「裏金」だったとすれば、余りにも情けない▼金大中氏は盧大統領の配慮で法的な責任は免れたけれども、側近の罪は金氏もが負うべきが筋だろう。韓国の野党や新聞・テレビは「ノーベル平和賞にも傷がついた」の論調も強いが、あの世紀の南北会談は一体何の意味があったのかを問い糺し、全てをカネで仕切る旧来型の悪習を絶ち、別れを告げるときがきた。     (遯)

03/06/28

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