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経口感染=衛生に留意を=シャーガス病=日伯友好病院長に聞く

4月6日(水)

 アマパー、サンタ・カタリーナ両州で二、三十人規模の感染者が確認されたシャーガス病。サンパウロ市のバールやフェイラでもお馴染みのアサイやサトウキビジュースから「経口感染」していたことが明らかになり、不安が広がっている。日伯友好病院の大久保拓司院長は「消化器官の連鎖反応を止めたり、心臓肥大を起こしたりする事態を招く病。死にも繋がる。衛生に問題のありそうな、路上の売店で飲食する場合は注意が必要だ」と話す。
 奥地の風土病で、病原体を保有するさしがめ虫が人間の皮膚を刺し感染する――。これまで、シャーガス病は一般的にそのように認識されていた。今回、両州で起きたケースは、都市部や海岸地帯の住民が口にした飲料から感染している点で、異なっている。さしがめ虫の排泄物、あるいは虫自体が一緒に砕かれて飲料に紛れ込んでいたことが引き金となったようだ。
 感染初期の症状として、大久保院長は「まぶたがはれたり、熱が出るのが普通だが、一週間くらいでおさまるので、風邪と勘違いしてしまうことも多い。数年の潜伏期間がある」と説明する。ただ、両州での感染者は大量の病原体を体内に取り込んでしまったため、急性発症した、という。
 サンパウロ市内ではあまり聞かない病名だが、「大きな病院には常に、地方から治療を受けに来ている患者がいる」(大久保院長)。同病院でも、サンタ・カタリーナ州を旅行しサトウキビジュースを飲んでしまったと心配する夫婦を先週診察した。夫婦は陰性だったが、陽性の場合でも、感染後一週間以内に適切な治療を受ければ、大きな問題に発展しないそうだ。
 「経口感染に関しては、衛生に気をつけていれば心配ないだろう。フェイラの屋台などでサトウキビジュースを飲むなら、サトウキビや機械が清潔かよく確認したほうがよい」
 また、最近の森林破壊で住処を失った禽獣が野に下りだしているため、黄熱病の感染の恐れも以前より高まっているという。「病院には感染病専門の医師二人が常駐し、血清検査も行なっている。疑いがあれば駆けつけて欲しい」と、大久保院長は話している。

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