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全伯日系団体の連携めざして=文協統合フォーラムを振り返る=連載《上》

ニッケイ新聞 2007年12月7日付け

 一、二両日に開催された「文協統合フォーラム」。二十五カ所の地方理事のうち、全伯十州、二十二団体の代表者が一堂に会して意見を交わした。文協では過去、十回にわたって日系団体代表者会議を開催、後の日系団体連合会(UNEN)設立へとつながった経緯があるが、今回のフォーラムはそれ以来の試みと言える。初日午後に行われた分科会では、「地方理事」「女性」「青年」「事務局長」の四グループに分かれ、各団体の抱える問題、サンパウロ文協との関係強化に向け、様々な提案が出された。本日から二回に分け、概要を紹介する。

【地方理事分科会】若者参加の促進=団体間の交流強化も

 地方理事分科会には、サンパウロ市近郊、州内のほか、パラナ州、南マ州、ブラジリア連邦直轄区、パラー州、アマゾナス州など全伯二十二団体から二十七人の代表者が出席、ポルトガル語(十五人、司会・花城アナクレット)と日本語(十人、司会・西銘光男)のグループに分かれて意見を交わした。
 日語グループでは、デカセギや日系団体への関心の薄れによる会員の減少、それにともなう支部の停滞・消滅、運営資金難など、出席者から各団体の抱える問題が挙げられた。
 こうした問題に関してパラナの代表が、同州で青年を中心とした「インテル・セイネン」が行う、貧困地域でのボランティアなどの活動が若者世代の参加につながっている現状を紹介。他地域の代表からは、和太鼓やYOSAKOIソーランなどの新しい文化活動が若者を引き付けていることなどが紹介された。
 同州では、パラナ日伯連合会が太鼓グループ結成を希望する傘下文協に太鼓を貸与し、一年間活動を続けたら寄贈する方法をとっているという。
 この他、ヴァーレ・ド・パライーバからは、同連合でリッファ販売の際に半額を傘下文協に還元する方式を取っていることが紹介され、文協でも同様の方法をとってはどうかとする提案もあった。
 各団体とも、地域文協間の連絡を蜜にする必要があるという認識で一致。サンパウロの文協との関係強化については、サンパウロのイベント情報の地方への提供、舞踊など文化関連の指導者の派遣などを求める声のほか、OSCIP設立やルアネー法適用を申請するための法的な指導を要望する意見が出された。
 ポ語グループの分科会でも同様の問題点が挙がった。他団体との意見交換、若者参加の促進といった対策のほか、リーダー教育や、青年部への収入源を作ること、さらに組織再編の必要性も言及され、各代表が地元で検討することで一致した。

【青年分科会】青年間で連絡取り合い=各地でフォーラム開催

 青年分科会には汎ソロカバナ、北パラナ、セントロ・オエステ、リオデジャネイロ、リトラル・パウリスタ、ベレン、パライーバ、スザノ、リベイラ、ベロ・オリゾンテ、カンポ・グランデなど約十一都市(約三十人)が参加。
 主に地方と中核となる文協青年がどのようにコミュニケーションを取るかに重点をおき、意見を交換した。
 出席者からは地方文協が抱える問題点として「焼きそばなどのフェスタを開いても、日系人の参加が少ない。また、会館に足を運んで協力してくれる人がいない」という意見のほか、「大きい町と小さい町では考え方が違う。同じ感覚で考えないで欲しい」など厳しい意見も出た。
 ミナス州からは、デカセギから帰ってきた日系人が「日本のことをよく知っているのに文協活動に参加してくれない」との問題点もあげられた。
 また、文協青年部との連携とより緊密なコミュニケーションを図るために、全伯を五つの地域に分け、持ち回りで定期的にフォーラムを開催することを決めた。
 栗田クラウジオ青年文協会長は「今大事なのはインターネットを使って連絡を取り、皆の顔を合わせることが必要」と人と人のコミュニケーションの必要性を説いた。
 司会をつとめた宮崎マウリシオさんは「問題を出し合うだけではなく、きちんとまとめることが出来、とても充実した良い会議となった」と話した。
 参加した汎スザノ青年部の福山幸一さんは「青年の集まりをなくさないように話が進められたことが良かった」と感想を語った。     (つづく)

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