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国際交流基金の百周年事業=日本の伝統 ブラジルに伝える=連載《上》

ニッケイ新聞 2007年12月21日付け

 国際交流基金サンパウロ日本文化センター(西田和正所長)では来年、百周年を記念した四つの主催事業を企画している。二月の「江戸糸あやつり人形」公演を皮切りに、ダンス、美術展、雅楽・舞楽公演など、その内容は様々だ。中でも雅楽は平安時代、江戸糸あやつり人形は江戸時代にはじまり、日本の伝統文化を今に伝えている。二回に分けて、事業の概要を紹介する。

江戸糸あやつり人形=373年の伝統「結城座」=来年2月、国内4カ所で

 三百七十三年の伝統芸能がサントス、サンパウロ、リオデジャネイロ、ブラジリアの四ヶ所で――。一六三五年(寛永十二年)に旗揚げされ、「国記録選択無形文化財」および「東京都無形文化財」に指定されている江戸糸あやつり人形「結城座」(十二代目結城孫三郎)の初ブラジル公演が来年二月、国内四都市で行なわれる。
 日本唯一の伝統的江戸糸操り人形の劇団である結城座は、江戸幕府公認の五座(歌舞伎三座の市村座・中村座・河原崎座、薩摩座、結城座)の中で、唯一活動を続けている。
 主な活動として、伝統的な演目による古典公演の他に、現代作家による書き下ろしや翻訳による新作公演も手がける。
 役者と人形による同じ劇空間での競演、新作の劇中に古典の手法や、江戸時代から伝わる「写し絵」(ガラスの板に絵を描き投射する)などを挿入するなど、常に独自の新しい舞台空間を創造し続けている。
 ヨーロッパ、中近東、東南アジア、旧ソ連、アメリカなど数々の海外公演でも成功を収め、国内外で活発な活動を行なっている。(結城座HPwww.yukiza.jp一部参照)
 今回初となるブラジル公演では、サントス(十四、五日)、リオデジャネイロ(十九、二十日)、ブラジリア(二十三、四日)、サンパウロ(二十七、八日)となっている。
 同月二十七日には、カンポ・リンポの日本人学校でワークショップも行なわれる。
 西田所長は、「百周年事業である本公演は、移民の足跡同様、サントスから始めたい」と話し、〇八年初となる同センター主催百周年事業に力を込めている。
 公演に関する詳細は、国際交流基金サンパウロ文化センター(電話=11・3141・0110)まで。

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