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第2回文協統合フォーラム(下) 「百周年の機運を活かせ」=各地の来年目標を発表=割り箸も束ねれば折れない

ニッケイ新聞 2008年12月12日付け

 次の百年に向けて何を優先課題にするべきか。第二回文協統合フォーラム二日目には「百周年で盛り上がった関心を来年に活かす」「各地方で統合フォーラムを開催する」「若者を呼び込む」「文協ネットに参加する」などの各地方ごとの目標が決められ、昨年よりもさらに絞り込んだ目標意識が参加団体で共有された。その他、日本移民遺産観光ルートの開発などのアイデアも提案され、実り多きフォーラムになったようだ。
 七日午前、前日午後に行われた分科会のまとめが、次のように報告された。青年の部ではヤスモト・クリスチアーノさんから「若者向けの日本文化ワークショップをして次の世代に文化を残すようにする」「自分たちの子供に日本文化に関心を持たせる動機付けをする」などの意見が出た。
 女性の部では、アマゾナス州のナガセ・ソフィアさんやミナス州のオカザキ・ミチコさんから「幼少時に日本文化に関心を持たせる動機付けが重要。幼稚園児への日本文化の働きかけを増やす」「伯メディアで百周年が大きく扱われて日系であることに誇りを憶えた若者を、もっと団体に引き付ける働きかけをする」「女性は炊事するだけではない。女性を役員にもっと入れるべき」との指摘があがった。
 団体役員日語の部で、文協の西銘光男氏から「非日系人も含めて百周年で盛り上がった機運を続ける働きかけをすべき」「移民の文化資産(日本人墓地やモジのお茶屋敷などの施設やレジストロ灯篭流しなどのイベント)を観光ルートにして若者やブラジル人に紹介する」とアイデアも報告された。
 事務局ポ語の部では、マツダ・ロベルトさんらが「百周年の盛り上がりは偶然ではない。日本文化や倫理観、真面目さなどを継承してきた積み重ねの結果だ。これからも日本語や文化普及に注力すべき」「サンパウロ市文協のイベントをもっと地方に巡回させてほしい」などが提案された。同日語の部では堤剛太さんから「若者の参加を増やす」「収入安定化を図る」などの意見が紹介された。
 次に、報告をたたき台に各地方で再度集まり、〇九年の目標を決めた。各地からは「統合フォーラムの地方版をやる」との宣誓がモジ、汎ソロ、リオ、バーレ・ド・リベイラなどから出たほか、インターネット上の日系コミュニティ「文協ネット」への加入をカンピーナス、アマゾナスなど複数の団体が申し出た。リオ青年では、全伯で活動中の青年部のネット上の登録・通信網を作るとの宣誓も出された。
 その他、山村敏明リベイラ地区百周年祭実行委員長は「文協は非日系の日本文化愛好者に団体の扉を開ける。日系団体はラッサ(民族)を守るのではなく、日本文化を守る」と語り、参加者から賛同の拍手が上がった。
 最後に渡部和夫評議委員長らが総評をのべ、司会の花城アナクレットさんが割り箸を見せ「割り箸は日本文化の真髄。一本の割り箸は簡単に折れるが、束ねれば折れない。統合フォーラムを続けて日系団体を束ねましょう」と呼びかけ、ブラボー三唱をした。
 リオから参加した星エドアルドさん(24、三世)は「素晴らしい情報交換ができた。この経験を地元の仲間と共有したい」と語った。スザノの山本善左門さんも「一回目より、焦点が定まっていてだいぶ良かった」と評価し、来年への期待感をあらわした。
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 当日はサンパウロ市の文協小講堂では、百周年記念協会の主催事業である日本語版百年史編纂委員会の森幸一編纂委員長が計画の全体像を説明すると共に、今後の地方調査(資料収集キャラバン)への協力などを呼びかけた。
 続いて、〇九年にアマゾン移住八十周年を迎える汎アマゾニア日伯協会の生田勇治会長代行が、歴史や三万五千人に増えた地域日系社会の発展を振り返り、ブラジル中西部日伯文化協会連合会の秋本満敏会長が日本人入植の歴史を説明した。
 なお、協賛企業のレアル銀行から清水オリジオ取締役ら四人が出席。百周年TVコマーシャルを始め、十月までに六百四十もの関連のイベントに参加したと説明。「来年も同じように支援していく」と心強いコメントで締めた。さらにセラード開発計画を推進してきた日伯合弁企業カンポ社の概要も説明された。(おわり)

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