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ニッケイ法律相談=その2=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2011年7月5日付け

 質問==80歳の未亡人です。長男と2人で生活していますが、もう一人息子(次男)がいます。自分の死後は、面倒を見てくれている長男に全ての財産を譲りたいのですが、どのように遺言書を作成すれば良いでしょうか。
 回答==遺言書では、全ての財産を長男に譲ることは出来ません。財産の半分だけを長男に譲ることは、遺言書によって可能です。
 そうする場合、残りの半分をどのように分けるかも遺言書で示す必要があります。したがって、「長男に半分の財産を譲る。残りの半分は2人(長男と次男)で分けること」と遺言書に書けば、残り半分の財産は長男と次男が半分ずつ分けることになりますので、財産の75パーセントを長男に譲渡することが出来ます。
 または、もしあなたが生存中、全財産の名義を長男に変更することに関して次男が同意のサインをすれば、全財産は長男のものになります。
 ただ、生存中に財産を長男の名義に変える場合、あなたが「使用収益権(usufruto)」を持つという条件で変えられることをお勧めします。
 「使用収益権」とは、財産が自分の名義ではなくても財産を使用できる権利のことです。もしこれをあなたが持つという条件を付けずに名義を変更した場合、あなたの長男は独身ということですので、将来結婚する相手によっては、あなたに家から出て欲しいなどと言ってくる可能性も出てきます。その可能性を防ぐため、「使用収益権」を持たれた方が望ましいでしょう。

 質問は日本語でもポ語でも可。質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP, CEP 01506-000)まで。

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