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ラーメン文化の普及を目指し=MNプロポリス社会長 松田典仁=第2回=麺、スープについて

ニッケイ新聞 2012年7月14日付け

 料理はトライアングルである。どんなに腕の良い料理人でも、食材が悪ければ美味しい料理は作れない。どんなに食材が良くても製造技術が良くなければ美味しい料理は作られない。どんなに食材や製造技術が良くても、サービス精神、もてなしの心で結果は違ってくる。
 美味しい料理=「食材料X製造(生産)技術X心(=哲学)」
 稲盛和夫氏(京セラ創立者、日本航空名誉会長、盛和塾塾長)の提唱する。
 人生・仕事の結果=「考え方X熱意X能力」と非常に似ているように見られます。
 麺は生き物です。温度と時間の経過によって常態が刻々変化する、麺の材料の中で最も大きな比重を占める小麦粉の基本知識を十分知っておくことが重要なことと思われる。
 小麦粉の成分は、主にたんぱく質と澱粉と水で構成されており、たんぱく質の含有量により、強力粉、中力粉、薄力粉に分類されている。ラーメンに使用される小麦粉の要求品質は準強力粉で、麺の美味しさの秘密はグルテンと澱粉と言われ、又加水用の水質も大きく影響していると言われる。
 ラーメンのスープ作りは、秘伝という名のもとに謎のベールに覆われ各社、各店、語られることはない、「かん」と「経験」がスープの味と言える。私達の感じる味質は基本五味と呼ばれ、甘味、苦味、酸味、塩味、うま味の五つがある。
 食べ物に味と、又香味を付けたりする事を「調味」という。調味がなければ食べ物は実に単純で、淡泊なものになってしまい、料理されたものへの魅力も半減し、食欲もおこらない。
 日本人の味覚の背景には気候風土が大きく影響し、稲作文化と魚介類の味覚と嗜好が下地といえよう。このような背景から魚介類が動物性たんぱく質の重要な供給源となり、米と魚類と野菜を中心とした食文化が、室町期に日本料理の基本として完成されたと言われる。
 日本の一般的な調味料は醤油、味噌、塩、酢、砂糖の味付けの材料の他に酒、みりん、だし等の調味料がある。
 ラーメンのスープは野菜類、肉類、魚類、海藻類、果物類他が使用される。自然な味でスープを作るには、食材を吟味し長時間煮込み、こくのある味の抽出を行う事である。
 お客様の満足される味をだすためには、常に研究し素材の味を最大限生かし奥行きのある、バランスの良いスープ作りを心がけねばならない。(つづく)

写真=味噌、醤油の熟成を促進させる超高圧抽出機(株・東洋高圧)。ブラジルに一台しかない/製麺機

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