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ニッケイ法律相談=その27=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2012年8月28日付け

 質問=カイシャ・エコノミカ・フェデラル(連邦貯蓄銀行、以下カイシャ)がやっている公売(leilao publica)で家を購入しました。そこには人が住んでおり、「2カ月で出て行く」とカイシャから聞いていたのですが、半年経った今でも出て行きません。どうすればよいでしょうか。
 回答=カイシャが融資して物件を購入した不動産所有者が、住宅ローンの支払いが不能となった場合、カイシャは物件を差し押さえして競売にかけます。その情報は官報(Diario Oficial)に掲載されます。
 その物件に居住者がいても、そのまま売ることがあるので要注意です。それを落札して買い、物件の居住者が出て行かない場合でも、「カイシャが嘘をついた」とはならず、この場合は「2カ月以内に出る」という口約束があったはずですので、違法になりません。
 落札した物件に人が住んでいた場合、話し合っても解決しなければ裁判にかけることになりますが、この場合はもう半年経っているということですので裁判にされたほうがいいでしょう。ただし最低2年はかかってしまいますので、その覚悟でいて下さい。
 したがって、競売物件を購入するさい、少々高くはなりますが人が住んでいない物件を選ばれることをお勧めします。
     ◎
 質問=家を貸していますが、借家人が2カ月家賃を払ってくれません。友人から「3カ月未払いならば裁判にして追い出せる」と聞いたのですが、本当でしょうか。
 回答=結論から言えば、家賃の支払い日から1日でも遅れれば、3カ月も待たずに裁判にかけることができます。毎月30日が支払い日で、その日までに支払われなければ次の日から裁判にできるのです。
 裁判にして判決が出て、家を空け渡してもらうまでには数カ月かかります。ただし例外として、借家法で認められている三つの保証方法(保証人、保証金としての積み立て、保険)のどれかがあれば、もっと時間がかかります。少なくとも1年はかかるでしょう。もし何も保証がなかった場合、数カ月で家を明け渡してもらうことができます。
     ◎
 質問=道を歩いていたら、散歩中の犬に噛まれました。大怪我には至りませんでしたが出血する傷ができ、病院で手当てを受けました。その飼い主はいつも犬を散歩させているので、後を追ってそのことを訴えると怒鳴られました。どうすればよいでしょうか。
 回答=後を追ったということですが、飼い主の住所はわかるのでしょうか。もしわかっていれば、名前は分からなくても小額裁判所に訴えることができます。弁護士は特に必要ありません。
     ◎
 質問=隣人が猫を40匹、犬を20匹飼っています。悪臭がして鳴き声もうるさく、困っています。話をしたところ「動物をいじめるのか」と怒鳴られてしまったのですが、どうすべきでしょうか。
 回答=隣人の言い分は話になりませんので、この場合は軍警に連絡すればよいでしょう。それで解決できなければ小額裁判所で訴えることができます。
 出た判決を守らない場合は、日ごとに罰金が科せられるでしょう。

質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP, CEP 01506-000)まで。質問は日本語でもポ語でも可、ただしメールの場合はポ語のみ。質問内容をできるだけ明確にしてお寄せください。

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