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海外日系文芸祭=ブラジルから21人が入賞=2325作品、過去最高

ニッケイ新聞 2012年9月7日付け

 『第9回海外日系文芸祭』最終選考会が8月2日に行なわれ、受賞者が決まった。
 今年は日本国内外(海外13カ国)から過去最高の2325作品の応募があった。ブラジルからは短歌110首、俳句85句が応募された。
 授賞式は11月1日に憲政記念館(東京都千代田区)で開かれる、『第53回海外日系人大会』の全体会議の席上で行なわれる。ブラジルの入賞者は以下の通り。
【短歌部門 一般の部】
◎海外日系新聞放送協会会長賞
 育児書の手垢の跡は病気欄本が頼りのアマゾン暮し(下小薗蓉子)
◎文芸祭賞
 指たてて席譲りくれしブラジル人の笑顔こぼれる朝戸出のバス(竹下澄子)
 新聞を読むひと時は恍惚の父とは見えず壮年の顔(酒井文子)
◎入選
 厨房の酵母の匂ひ嗅ぎまわるイタリア人に次女は嫁ぎて(武井貢)
 このあたり邦人住みしか竹やぶ薮ありて移民の足あと思うパラナ州道(川上美枝)
 アマゾンの原始の森に雨激し落葉はろ濾紙ぞ澄みて流れる(岩坂保)
 放射能吸いて陽に向くひまわりの勢い哀し無人の街並み(宮城あきら)
【俳句部門 一般の部】
◎海外日系新聞放送協会会長賞
 荒農地あり蟻づか塚高くなりにけり(吉田夏絵)
◎海外日系人協会理事長賞
 日記果つ故郷の津波の日は白紙(佐藤孝子)
◎本阿弥「俳壇」賞
 赤道下里の香りのよもぎ蓬も萌ゆ(長島裕子)
◎文芸祭賞
 頭に岩を載せて伸びゆくあり蟻の塔(前田昌弘)
 邦字紙のかぶとかぶって初節句(富田喜子)
 遠目にも波打つ樹海春一番(東抱水)
◎入選
 いとこのみつな繋ぐ祖国や花便り(工藤未敏)
 わが菜園極楽浄土耕やせり(廣瀬美知子)
 移民とは墓買うまでや穴惑い(浜田一穴)
 炎天や心のひだ襞にきのこ雲(武田知子)
 わ吾が師の師その又師なるきょし虚子まつ祀る(中川敬子)
【短歌部門 学生の部】
◎文芸祭賞
 雨やんでやしの葉光る星月夜亡き母の声聞こえて来そう(ブラジリア日本語モデル校 佐藤夏子)
◎入選
 コスモスの花に囲まれ仏像はお遍路巡りの人に微笑む(同、ニュートン・リベイロ・マシャード・ネト)
 人生は目のまばたきと同じだろうあっという間に過ぎ去っていく(同、ラファエル・マウリ・デ・ソウザ・エ・シウヴァ)

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