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沖縄県人会=ポ語版移民百年史が完成=「後世に意義深い一冊」=昨年末刊行、会員に配布

ニッケイ新聞 2013年1月17日付け

 ブラジル沖縄県人会(与那嶺真次会長)の県人移民百年史『1 Seculo de Historia – A comunidade Okinawa no Brasil desde o navio Kasato Maru 1908-2008』(全298頁、3千部)。が昨年12月に出版された。沖縄移民の歴史全体を扱ったポ語による書籍としては初となる。昨年12月20日には記念祝賀会が同県人会館で開かれ、会員、日系団体関係者ら約150人が訪れた。与那嶺会長は「重要な歴史をポ語で残せたことは非常に意義深い」と記念史を手に満足の表情を見せた。

 2000年に刊行した移民90周年史『ブラジル沖縄県人移民史』(全編日本語)のポ語訳に2008年までの記録を追記したもの。ブラジル政府から5万レアルの助成金も受けている。
 ブラジルが外国からの移民を受け入れるようになった経緯から、日本のブラジル移民制度の成り立ち、当時の沖縄県人移民などに触れた1章に始まり、県人会の成立や戦前、戦中、戦後の沖縄コロニア事情、県人の識者らによって行われた座談会の記録など10章で構成される。
 沖縄タイムス主催の『出版文化大賞 特別賞』を受賞。「次世代のためにポ語訳版を」との声が高まり、翻訳など本格的な作業を05年頃に開始した。編纂委員会の垣花輝明実行委員長は「日本への留学経験者で作る『うりずん会』の若いメンバーたちも手伝ってくれて、延べ30人以上で作り上げた。翻訳の後の膨大な量の校正作業には苦労させられたけれど、彼らの助けもあって無事完成させられました」と協力者らの労をねぎらった。
 与那嶺会長は「とにかく今はほっとしている。ブラジル移民史上でも重要な沖縄県人の歴史を、後の世代に分かる形で残せたことは本当に意義深い」と満足げに話した。
 同県人会にて会員に無料配布、非会員には50レアルで販売している。問い合わせは電話(11・3106・8823)まで。

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