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ブラジル公文=学習者数が16万人突破=教育への関心高まり受け=公教育を補う役割も

ニッケイ新聞 2014年2月6日
喜多川社長

喜多川社長

ブラジルの学習塾のパイオニア「ブラジル公文」の学習者数が直近5年間で6万人増え、昨年5月に過去最高の16万人を突破した。1977年に教室展開を始めて37年目。ここ数年で飛躍的に成長してきた要因は、「企業努力」と「教育への関心の高まり」と現地社長の喜多川直也氏(51、大阪)は語る。特に「指導者の力量を上げる」地道な努力が功を奏し、2012年にはグローボ出版の雑誌「Pequenas Empresas & Grandes Negocios」で「ミクロフランキア賞」も受賞。当地にしっかり根を張る日本発・公文の魅力と今後を聞いた。

「どんどん教室を開いて宣伝すれば、生徒は増える。でも長い目で見たら、質を強化しないと生徒は減ると思った」と喜多川社長。

教室の様子

教室の様子

教材も指導法も世界共通だが、「公文独自の指導法をより深く学べた指導者が、子どもをより伸ばすことができる」との基本に立ち返り、普及や教室設備の質向上と共に、研修を通じ、教室を指導する社員と指導者の力量を高めるという地道な方策を採った。

それが着実に学習効果を上げ、公文入会最多の動機である〃口コミ〃が増えるという好循環を生んだ。一昨年までの3年間の年間増加率は10%以上。「リーマン・ショックで世界的に生徒数が伸び悩んだ時も、ブラジルでは7%の成長があった」ほどの勢いだ。学習者数は日本、アメリカに続き3番目、教室数は約1500。

元々は日系の学習者が多かったが、今はほとんどが非日系。その中心はA層(平均所得の目安は月額約50万円)、B層(同16万円)だが、「C層(同6万円)も関心を持ち始めている」という。また、自分のペースで学習でき、早ければ4~5年で最終教材(高校卒業レベル)まで到達できるため、「家庭によっては、早めに入会させた方が学校で有利だと気づきはじめている」。一番多い年齢層は11歳前後だが、こうした状況を受け低年齢化傾向にあるという。

科目は生徒数が多い順に数学、ポ語、英語、日語。授業料は1科目につき週2回で月会費が130レアル台~200レ以上(地域・教室による)と、家庭教師を雇うよりはるかに低価格だ。

当地には、数学や国語を学べる民間教育機関はほとんどなく、公立学校も授業時間数が少ないなど問題があるためか、公文が公教育を補う役割も果たしている。働きながら大学進学やスキルアップを目指す社会人の学習者も多い。「学校の先生が生徒に公文を勧めてくれることもある」(喜多川社長)。

とはいえ、文化的差異が逆風になることも。「公文は学年を超えて続けてこそ本来の良さが出る。でも、長期休暇中、『子どもに勉強させるのはかわいそう』という風潮があるので長く続かない」。日本での平均在籍期間が3年程度なのに対し、当地では1年半ほど。だから「どの国より指導力を追求する」ことで学習者の定着を図っている。

公文式数学の知名度の向上に伴い、今後はポ語や英語、幼児教育の普及も強化していくという。

本社「日本公文教育研究会」は1958年大阪市に創立。「公文式」と呼ばれる独自の教育法でフランチャイズ展開している。学年を問わず、自分の学力にあったプリント教材を自分のペースで進める「自学自習」形式を取る。通塾は週2回、その他の日は持ち帰った宿題で家庭学習を行う。教科は算数、国語、英語が中心。

国内の学習者数は147万人。国外では47カ国に普及しており、286万人が公文を学ぶ。

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