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迷品のラーメンと刻みネギがのるカレー
迷品のラーメンと刻みネギがのるカレー

謎の老舗日系レストラン『SATO』

 これはバールなのか、レストランなのか――それが問題だ…。一説には600以上も日本食を出す店がサンパウロ市にはあるといわれる中でも、バール的店舗は珍しい。50種のメニューには「果たして日本食かと首をかしげるものがある」と聞き、怪しい一品を食すべく早速出動だ!

 店の看板メニューには「KARE RAISU」の文字! 英語のRice Curryではない。RAISUはれっきとした日本語(ローマ字)だ。しかもフェイジョアーダの壷に入って出てきたカレーは、うっすらと透明感のあるサラサラ系で、上にはなぜか刻みネギ――。

 和食だからネギか、でもカレーはインド風のはず…と頭がグルグル状態に。まっ、マズイ。これは敵の罠か! とあたりを見回すが、店員からはあくびが出そうな倦怠感が漂うばかり。肝心のお味はS&◎スパイスのみ使ったような実に素朴な感じ。

 続いてラーメン。濃い目のスープは油が浮いて妙に甘い。チャーシュー、ナルトのトッピングは間違っていないけど、なぜか普通はラーメンになさそうな、ちくわに卵焼きが浮いている。二口目を躊躇するような〃迷品〃だ。そこでハッと気付いた。も、もしや「うどん」と誤解しているのか――。額からタラ~リと冷たい汗が滴る。

 ただしフェイジョアーダと味噌ダレの豚肉ステーキ定食(Lombo Miso)と白身魚定食(File de Pescada ao Molho)は絶品! 前者はだし(?)の利いた、どこか懐かしさすら感じさせる日本人向けの味。後者の豚肉も味噌と相性ぴったり、白身魚にかかったタレもご飯が進む。実にバール的な料理で、庶民価格なのもうれしい。

 名刺には「創業54年」とあり、ここ10、20年のブームに乗って続々とできたブラジル人向け高級日本食店とは違って、コロニア(日系社会)の老舗の味だ。日本食というよりは〃日系〃食の領域に踏み入った別世界の料理だ。

 冒険半分で「日本との違いを楽しむ」という一風変わった味わい方が可能、というか、最初からその心構えで望みたい〃迷店〃か。日本食店だが、最も美味いメニューがブラジルを代表するフェイジョアーダとは、まさに〃日系〃食。

 ◆ SATO

【営業時間】午前11時~午後3時45分、日曜定休
【住所】Rua Galvao Bueno, 268, Liberdade
【電話】11・3208・8504

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「忍者ぐるめ隊」欄は、本紙記者が市内レストラン等をこっそりと〃お忍び〃で訪れ、日本人の視点から味・接客対応・トイレの清潔度をチェックして、ばっさりコメントするコーナーです。評価欄は、手裏剣1つは「普通」、2つは「旨い」、3つは「最高」で、〃要注意〃には爆弾マークが付きます。(《註》なお、この欄はほぼ冗談です。お店の方、本気にしないで)

 

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