ホーム | 日系社会ニュース | ■記者の眼■大迷惑こうむる近隣店主=遅れるW杯工事と同じ図式か

■記者の眼■大迷惑こうむる近隣店主=遅れるW杯工事と同じ図式か

 「店の前の日よけ屋根を工事の1週間前に取り替えたばかりだったのに、ほこりまみれ。客足が激変して従業員も解雇せざるをなかった…工事のことを誰に聞けばいいかもわからなかった」。ガルボン街の排水管工事現場のまん前で精肉店を営むカワカミ・アレシャンドレさんは、説明会の後、いかにも腑に落ちないといった表情でそう語った。
 「説明を聞いて納得したか?」と聞くと、「少なくともこういった事前説明の機会があってよかった。予告してもらえたら、こちらも協力できることがあったと思う」とだけ答えた。
 都市インフラ整備局の工事責任者は、住民向け事前説明がなかったことに関し、落ち度を認めたが、「工事に携わる人間は、工事のことに集中しているため仕方がない」と言い訳をし、「広報の分野が弱く、指摘に関しては市役所の欠点だ」と語った。
 ただし、工事の遅れの原因となっている地下の複雑化に関し、「我々が工事をしているのは排水管であって、上下水道については水道公社の管轄で、我々は触らない」ときっぱり反論した。つまり、「他部署と連携を図っている」としながらも、掘った後から、出てきた配線や配管の関係部局とそのつど調整を行っている。「だから時間がかかる」という。
 説明会の参加者に聞くと「事前説明がないのがブラジルでは当たり前…」との声も。日常の工事においてすら、全体を見渡すような横断的調整役がいない。それが〃当たり前〃の現実なら、W杯のスタジアムやその周辺のインフラ大規模工事が遅れるのもムリはない。(宮)

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