ホーム | 日系社会ニュース | エクアドル=初の日本祭りに6千人来場=予想の2倍が詰め掛ける=浴衣着付け、背負い投げも=コロンビアからも出店希望
七夕飾りと短冊販売に加え、うちわに習字で名前書きも
七夕飾りと短冊販売に加え、うちわに習字で名前書きも

エクアドル=初の日本祭りに6千人来場=予想の2倍が詰め掛ける=浴衣着付け、背負い投げも=コロンビアからも出店希望

 【エクアドル発=秋山郁美通信員】日本まつり実行委員会(高橋力委員長)主催の「日本まつり2014たなばた」が、旧キト国際空港のイベント会場で6日行われた。交流サイトやラジオ、地道なポスター貼りなどを通じて広報してきたが、実行委員会が来年への継続のために希望していた3千人をはるかに超える6千人以上が来場し、会場はごった返した。

キト補習授業校の発表では合唱に初挑戦

キト補習授業校の発表では合唱に初挑戦

 会場は抹茶、浴衣、囲碁などの体験コーナー、地元寿司バーやメイドカフェなどの食べ物コーナー、剣道やコスプレコンテストなどの発表が行われる舞台のほか、日本の短編映画を上映するミニ映画館に分かれていたが、どこも人の波。
 あまりの多さに3度の入場規制を行ったほどだった。2年前まで国際線の到着ロビーだった会場は、この日ばかりは現役時代以上に賑わった。
 日本向け輸出のみで国内では食べられない有機栽培バナナの田辺農園が初出店し、バナナスプリット(デザート)を販売。エクアドル人は初めて食べる地元産の〃日系バナナ〃のおいしさに驚いていた。異色だったのが柔道の背負い投げコーナーで、柔道経験者のスペイン語留学生とJICAのボランティア3人で運営した。3人は1日中投げられまくり、身体を張って友好を深めた。
 キト補習授業校は定番となったたこ焼きや抹茶アイス、初挑戦の牛丼などを販売。イベント開始直後の停電にも負けず完売した。
 キト日本人会(武田正弘会長)はヨーヨー釣りで日本の祭りらしさを演出し、水風船は駐在員が出張のたびに持ってきて用意した。浴衣の着付け体験ブースは無料とあって大行列ができ、日本の観光名所の写真を背景に記念撮影する姿が後を絶たなかった。
 来場者のエルビア・アーロさん(53)は「娘がアニメ好きで来たが文化もわかっておもしろい。中国との違いがわかった」と話した。
 ステージでは居合道や剣道の実演、コスプレコンテスト、日本語学校の詩の朗読やキト補習授業校の合唱と学習発表などが行われ、来場者を楽しませた。
 会場を彩ったのは手作りの七夕飾り。宮城県人会風の飾りを伝授した石原フアンさん、記代さん夫妻はブラジルへ一時帰国中だったが、日本の日の丸や黄青赤のエクアドルカラーの薬玉に、ブラジルカラーの吹き流しなど、国際色豊かな七夕飾りとなった。五色の短冊も竹を華やかに飾った。
 祭りは協賛のトヨタ・デル・エクアドルの展示車の周りを回る東京音頭で締めくくられた。まず日本人が踊って見せ、徐々にエクアドル人も輪に参加し、次第に輪は大きくなった。
 コスプレチームのアンドレ・パーラさんは「これまでも日本関係のイベントを手伝ってきたが、このような大きな祭りは夢だった。手伝いをできるのは誇りです」と語った。エクアドル人スタッフのアニー・ヒメネスさんも「グアヤキルでもやってほしいという声やコロンビアからの出店希望もある。これ以上小さくなることはない」と来年を展望する。
 しかしキト周辺に住む日本人は少ないため、スタッフ不足が心配の種。今回のイベントでは永住者や駐在員などほとんどの日本人がスタッフや関係者となった。高橋委員長は「来年以降イベントをさらに充実させるにはエクアドル人の協力が不可欠。日本祭りをエクアドル最大にしたい」と意気込んだ。

image_print