トメアスー=元交流協会生の林建佑さん=フルッタフルッタ社駐在員=経済通して活性化に貢献

 トメアスー産のアサイーやカカオなどアマゾン果実の製品を日本国内で販売する株式会社フルッタフルッタ(本社東京)のブラジル・オフィス所長として、2011年9月から林建佑さん(33、兵庫)がトメアスーに駐在している。
 林さんは同社の初めての駐在員。それまでは、アマゾン・トラベル・サービス社長の北島義弘さん(故人)が代理人を務めていた。
 大学在学中にブラジル日本交流協会生としてエイダイ・ド・ブラジル(べレン)で研修し、トメアスーの森林農法に魅力を感じていた。
 「他地域とは違い商業として大規模に展開している点がユニーク。日系集団地もあるトメアスーで何かしたい」と思うようになった。
 修士課程在籍中に環境教育のプロジェクトに多数関わり、兵庫県の外郭団体に就職して3年勤めた。外務省専門調査員としてリオでも勤務し、フルッタフルッタ社には2011年6月に入社。06年にブラジル人女性と結婚し、1児の父でもある。
 同社の理念は、平たく言えば「アグロフォレストリーで生産された農産物を原料にした商品を販売することで、アグロフォレストリーを大きくすること」(林さん)だ。パイオニアとして日本に紹介したアサイー以外に、カカオ(明治と提携)の事業もある。
 「自然を搾取する農業では、必ずマイナス収支になる。アグロフォレストリーは自然資本をプラスにする農法」。トメアスー農業協同組合産フルーツ原料の国内独占輸入販売代理店として、年間2600トンを輸入し、日本国内で加工・製造・管理を行う。
 「3年前くらいから日本でアサイーがブーム。売り上げは伸びています」と言う。定番のアサイー飲料に加え、冷凍ピューレやアイスなど商品の種類を増やしている。東京と千葉県に直営店舗があり、イトーヨーカドーやイオンなど、大手スーパーにも卸すようになった。
 同地産カカオの評判もよく、「トメアスーのが入っている商品は売れるようです」とも。
 今年4月からは、トメアスー文化農業振興協会の理事も務め、地元日系社会にも密着する生活を送る。「会員で、選挙で選ばれたからですよ」と笑いつつ、「日本語ができる人が減りつつあり、読み書きまでできる二世はわずか」と現状を説明する。日本からの来訪者も多いため、日本語対応を中心的に担っている。
 「トメアスーは外から評価されている。それを若い日系人に理解してもらい、日本の人との交流を軸に盛り立てていけたら」と展望を話した。