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第7回 ブラジルで儲けるとはどういうことか? ②

ビーチにもビジネスチャンスがたくさん

ビーチにもビジネスチャンスがたくさん

 前回のコラムでも書いたが、ブラジル人はいかに税金、労働賃金、家賃を最小限に抑えるかを考えながら商売をしている。特に物価が高いリオ・デ・ジャネイロでは尚更だ。そんなリオで家賃を払わずに堂々と営業をしている人たちがいる。
 リオの朝は気持ちいいので、日頃運動をしない私でも早起きをしてランニングをしたりするが、フラメンゴ、ボタフォゴ、コパカバーナ、イパネマの各海岸にはどのビーチ沿いの舗道にもランニング専用のレーンがあり、毎日多くの人がランニング、ウォーキング、サイクリングなどをしている。
 そんなビーチに、昔はなかったテントがいくつか建っているのを発見した。テントの中を覗いてみると、体力測定やトレーナーみたいにトレーニングのメニュー作りなどのお手伝いをしている人たちがいた。ちゃんとした会社になっていて、テントにはURLが大きく書かれ、立派なホームページもある。
 どうやら、ビーチ沿いを毎日ランニングしている人たちをターゲットに、プライベートトレイナーのようなことをしているらしい。勝手にテントを建てているのではと思い、役所に聞いてみたところ、ちゃんと届け出ていて、役所の担当者が認めたところだけに許可を与えているとのこと。
 では、スペース費はいくらか聞いたところ、なんと無料で貸しているらしい。サービス会社に連絡をすると、おおよそ月に50レアル(2250円)から100レアル(4500円)を取って、トレーニングメニュー作りや、簡単なトレーニング機器の貸し出しをしている。テントを張って、少しのトレーニング用器具を買って置いておくだけなので設備投資もわずかであり、会員を何百人か集めれば、良いビジネスになる。
 リオのビーチにはさらにその上を行く人たちもいる。リオのホテルでは、夏の書き入れ時に多くの従業員が辞めて、夏が終わるとまた戻って来るので大変困っているらしい。なぜかと言うと、夏の間はビーチで、ビーチチェアやパラソルのレンタルの商売を自分でやった方が実入りが良いので、そちらに行ってしまうらしい。
 レンタルチェアとパラソルだけなので、元手はせいぜい両方で1万円前後。10セットで10万円。それらを毎日1セット2500円程度で貸し出す。ブラジルの夏は11月からせいぜい3月までなので、5カ月で毎土日に10セット貸し出すと、125万円の売上げ。平日も加え、1日2回転する日もあることを考えれば、ざっと200万円ぐらいにはなりそうだ。
 彼らはどんなにがんばって1年間ホテルで働いても、200万円は稼げない。さらに、初期投資の10万円を出せない人たちを集めて、胴元をやっている人もいる。30人程度売り子を集めれば、日本円で年間数千万円の稼ぎになり、初期投資は1年目だけなので、数年やれば豪邸が建つ。
 もちろん、領収書もない現金商売で事務所も不要なので、税金も家賃も払っていないだろう。良くビーチを見てみると、ココナッツジュース売り、アイスクリーム売り、タオル売り、お土産物売りなど、ビーチ沿いに豪邸を建てた人がたくさんいそうだ。
 当然、外資系企業であるわれわれがそのような商売は出来ないけれど、ブラジルにはビジネスチャンスはたくさんあり、各分野でまだまだ隙間や手のついていないニッチな市場はいっぱいある。日本で行き詰まっている若者は、ブラジルで一旗挙げてみては?

輿石信男 Nobuo Koshiishi
 株式会社クォンタム 代表取締役。株式会社クォンタムは1991年より20年以上にわたり、日本・ブラジル間のマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ、各種認証取得支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。  2011年からはJTBコーポレートセールスと組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供と中小企業、自治体向けによりきめ細かい進出支援を行なっている。14年からはリオ五輪を視野にリオデジャネイロ事務所を開設。2大市場の営業代行からイベント企画、リオ五輪の各種サポートも行う。本社を東京に置き、ブラジル(サンパウロ、リオ)と中国(大連)に現地法人を有する。

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