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年頭のごあいさつ

「日系社会との関係強化を」=内閣総理大臣 安倍 晋三

安倍 晋三

安倍 晋三

 ブラジルにお住まいの日系人・邦人の皆様、2015年の年頭に当たり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 昨年末に日本で行われた総選挙は、「アベノミクス」を前に進めるか、それとも止めてしまうのか、が大きく問われた選挙でした。大変厳しい選挙戦でしたが、国民の皆様から、安定した政治を進めよ、アベノミクスを力強く前進させよとの声を頂くことができました。
 経済のみならず、東日本大震災からの復興、教育改革、外交・安全保障の立て直しも、まだ道半ばであります。この度、国民の皆様から頂いた力強い御支援を胸に刻み、この道をぶれることなく、しっかりと真っ直ぐに進んで参る所存です。
 ブラジル訪問ではルセフ大統領と約一年ぶりの再会も果たし、戦略的グローバルパートナーシップに基づく幅広い分野での協力を確認し合いました。
 外交関係樹立120周年を迎えた2015年、二国間関係のより一層の強化・深化のために尽力し、日系社会の皆様の御協力も得て、この記念すべき年を大いに盛り上げていきたいと思います。
 私は、2012年12月の就任以来、訪問した世界各地で多くの日系人の方々と懇談するとともに、移民史料館等を見学させて頂きました。そこで、各国に浸透している「勤勉」や「正直」という日本人のイメージは日系人や邦人の方々の努力によって培われたものであることを改めて認識し、また、日本と各国との絆は、日本人移住の歴史と日系社会の存在に支えられていることを改めて実感しました。
 皆様の日頃からの御尽力と御貢献に対し心から敬意を表します。今後とも様々な施策を通じて、日本と海外日系社会との関係強化に取り組んでいきたいと考えております。
 最後になりますが、皆様のより一層の御活躍、御健康と御多幸を心からお祈りし、私の新年の挨拶といたします。


〃力強い外交〃へ協力を=外務大臣 岸田 文雄

岸田 文雄

岸田 文雄

 2015年の年頭に当たり、ブラジルにお住まいの日系人及び邦人の皆様に謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 昨年10月、第55回海外日系人大会が東京で開催され、例年どおり大勢の出席者を得て大成功のうちに幕を下ろしました。
 日本政府と日系人社会との関係を強化する観点から、今次大会には私を含む多数の政府職員が出席し、多くの日系人の方々と交流させていただきました。
 それを通じて、日本と国際社会との幅広い友好関係は、ひとえに長年にわたる日系人や邦人の皆様の御苦労、そして現在の御活躍の賜であることを改めて実感した次第です。この場をお借りして、皆様と先人の方々の御尽力に深く敬意を表します。
 今年は、戦後70周年、国連創設70周年という節目の年に当たります。開発・安保理改革、防災・気候変動、軍縮・核不拡散、といったグローバルな課題においても節目となる重要な年です。
 戦後の日本の平和国家としての歩みは、国際社会の高い評価をいただいており、その歩みは今後も変わりません。これまでに構築した様々なネットワークを通じて、国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、平和で繁栄した世界の実現に向け、日本ならではの貢献を惜しむことなく積極的に行っていく考えです。
 国際社会からの信頼を揺るぎないものとするため、今後も力強い外交を進めてまいります。引き続き、皆様方のお力添えを賜りたく存じます。
 今年はブラジルとの関係でも外交関係樹立120周年という節目を迎えます。ブラジルとの間ではこれまでも活発に人的往来が行われており、日本からブラジルを訪問する要人等は、日系人の皆様や在留邦人の方々に大変温かく迎えていただいております。
 現在両国関係は、政治、経済、文化といった幅広い分野で強化・深化されていますが、両国の関係にとって記念すべき今年、改めて日本とブラジル両国が共に発展できるような関係づくりに尽力していく所存です。
 明年はリオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。その成功を祈念するとともに、続く2020年の東京大会の成功へとつなげるべく、ブラジルと、そしてブラジルで活躍される日系人の皆様とも協力していくことができれば幸いです。
 最後に、皆様の御多幸と一層の御繁栄を心から祈念しつつ、新年の御挨拶といたします。


コロニアとの連携、強く=在ブラジル日本国大使館全権大使 梅田 邦夫

梅田 邦夫

梅田 邦夫

 新年おめでとうございます。
 旧年中は、様々なご支援をいただき心より感謝申し上げます。
 昨年3月当地着任後これまでの間に、FIFAワールドカップ(伯開催64年ぶり)、安倍総理ご夫妻の伯訪問(現役総理訪伯10年ぶり)、千玄室大宗匠のサンパウロ訪問(45年ぶり)、アマゾン移住85周年式典といった歴史的重要行事に参画させていただきました。
 ワールドカップにつきましては、サンパウロ、レシフェ、ナタル、クイアバ、イトゥーの日系団体から全面的支援をいただきました。その結果、邦人観光客が一人も深刻な事件・事故に巻き込まれることはなく、また、各地で日本代表チームは大声援を得ることがきました。
 高円宮妃殿下は、皇族として初めてナタルを訪問され、大歓迎されました。安倍総理ご夫妻のブラジリア、サンパウロ訪問は、日系諸団体のご協力を得て充実したものになりました。総理ご夫妻は歓迎会出席者全員と写真撮影されました。
 昨秋亡くなられた1世の方が、病床でその写真を入手し、「ブラジルでは色々あったが、これで人生に悔いはない」と語られました。大宗匠をお迎えして、サンパウロの日本館及びサンパウロ州庁舎等で行われた荘厳な一連の行事は、日伯交流史の中でも一際輝く催しになりました。私は、来年年リオで改めて大宗匠をお迎えできることを期待しております。
 アマゾンのベレン、トメアスでは、移住者の方々が多くの苦難を乗り越え、アグロ・フォレストリーという持続的農法をあみだして、アマゾンの森林再生に貢献されていることを知り、勇気をいただきました。
 日系人の方々が各地において伯社会の発展に大きく貢献されている姿は、日本の誇りです。また、日本祭り、盆踊り等が各地において地域の重要行事として定着し、日本食、柔道、漫画やアニメなどがブラジル文化の一部として受け入れられていることは、正に日系社会の大きな貢献であり、心から感謝を申し上げます。
 その一方で、日系社会は世代交代の時期を迎え、若者世代の日本への関心低下、日本語教師の後継者不足といった問題に直面されています。このことは日本政府にとっても大きな課題であり、日系諸団体との連携を強め、具体的取り組みを推進したいと考えております。
 今年は、日伯修好条約締結120周年を迎えます。既に全国レベルの実行委員会に加え、クリチバ、リオ、ブラジリア等でも実行員会が立ち上がっています。ロゴマークやマスコット・キャラクターも決定され、特別事業として、花火ショー(9月、サンパウロ)、セラード開発など日ブラジル策プロジェクトに関する展示会(ブラジル各地)が予定されています。
 NHKは、日伯交流に関する特別番組を伯のテレビ会社と共同作成し、日伯両国で放映したい意向です。各地で開催される日本祭り、盆踊り等も記念行事の一環として位置づけていただければと思います。
 ルセフ大統領の訪日、日本の皇族訪伯の可能性もあります。大使館としましては、ブラジル内において「日本の存在感」を高め、日本に対しては「日系社会の貢献」に関する発信を強めていきたいと考えています。皆様のご協力とご支援をお願い申し上げます。
 今年一年が皆様にとって素晴らしい一年となることを心より祈念し、私の新年の挨拶とさせていただきます。 


飛躍の3年間、オールジャパンで=在サンパウロ日本国総領事館総領事 福嶌 教輝

福嶌 教輝

福嶌 教輝

 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は年間を通じ、ブラジル国内また日系社会等で様々なイベントや日伯交流事業が行われ、実りの多い年でありました。
 6月にはサッカーW杯が開催され、総領事館としては邦人保護を最優先しつつ、様々な両国関係強化の交流事業も実施しました。日本代表チームは、あと一歩の結果でしたが、ブラジルW杯日本人訪問者サンパウロ支援委員会が設立され、皆様のお陰で日本からのサポーターは、大きな支障もなく、また様々な交流イベントも実施できましたことに深く感謝申し上げます。
 8月には安倍晋三内閣総理大臣の10年振りのブラジル公式訪問がありました。サンパウロでは、日系社会関連行事、経済関係の行事、スポーツ関連行事などが行われましたが、日系社会の皆様をはじめ当地は歓迎ムード一色で、1000名以上の皆様との記念撮影をはじめ、大変な盛り上がりを見せました。
 特に訪問後、世界で3つ開設されるジャパン・ハウス(仮称)がサンパウロに設置決定、日系社会に対する数々の支援策、また、17年ぶりの経団連のミッション、医療セミナーなど、具体的な経済関係への期待が大いに高まったことなどにより、今後の日伯関係強化の体制が構築されたことは大きな成果となりました。
 さて、本年は1895年(明治28年)11月5日、パリにて調印された日伯修好通商航海条約120周年の記念すべき年です。爾来120年の間、日本人移住が開始され、今日160万人以上といわれる世界最大の素晴らしい日系社会が形成され、また、日伯の政治、経済、文化等の関係は着々と拡充・深化してきました。
 この120周年を祝し、サンパウロではカーニバル、花火イベント、経済セミナーなどにおいて日本関連の行事が多数実施されます。
 また、来年はサンパウロ総領事館も開設100年を迎えます。日系社会、ブラジル社会とともに歩んできた総領事館も一つの節目となり、日系社会、日系企業の皆様と共にオールジャパンで力を結集して、一層の両国関係深化拡大、人的交流の増進などのため、さらに尽力していく所存であります。
 結びに、昨年も含め本年の120周年、さらに2016年のリオ五輪までの「飛躍の3年間」を通じ、益々日本とブラジルの関係が大きく発展することを心より願うと共に、新年を迎えるにあたり、益々の皆様のご健勝とご多幸を深くお祈り申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。


日本企業の活発化に力=ブラジル日本商工会議所会頭 藤井 晋介

藤井 晋介

藤井 晋介

 明けましておめでとうございます。
 新年の門出に当たり、ブラジル日本商工会議所を代表してご挨拶を申し上げます。
 昨年中は当商工会議所の活動に対する温かいご支援とご協力を頂き、誠に有難うございました。 お陰様で、当商工会議所の会員数は引続き増加傾向にあり、昨年12月時点で373社に達しています。
 但し、海外の日本商工会議所を見てみますと、上海は約2400社、バンコクは約1600社、ジャカルタは約600社の会員企業を抱えています。
 インドネシア一国のGDPが約8500億米ドル(2012年)、同年のサンパウロ州のGDPが約7200億米ドルですから、経済規模の圧倒的な大きさから考えて、日本からブラジルへの進出企業数はまだまだ増える余地があるし、増やしていかなければならないと思っています。
 日伯外交樹立120周年の今年、官民一体となって、中小企業を含めたより多くの日本企業が新にブラジルに進出できるようなビジネス環境作りに、従来にも増して力を入れていきたいと考えています。
 昨年7月31日から8月2日にかけて安倍首相の来伯が実現し、両国間で外交・政治交流の拡大と貿易・投資の促進を行なっていくことが確認されました。
 同合意へのフォローアップの一つとして、12月に第一回日伯農業・食料対話会議が開催されましたが、多くの関係者が日伯セラード農業開発協力事業(PRODECER)の功績を称えていました。 昨年は同事業の40周年にあたりましたが、この期間に農業生産は日本移民の方々の多大なご努力もあり大きく飛躍し、ブラジルは今や世界最大の農業国の一つとなりました。
 日本もブラジルからの食料供給に依存を強めており、食料安全保障の観点からもブラジルは欠かせないパートナーとなっています。政治・経済・人的交流を通じて両国の絆が深まった素晴らしいモデルケースだと思います。
 安倍首相来伯時には、従来の両国協力分野に加えて、造船、物流、インフラ、エネルギー及びイノベーションにおけるビジネス協力を深化させていくことが両国間で確認されました。
 今後、これらの分野において日本からの投資・技術・アイデアがセラード開発のような成功例に繋がるよう、当商工会議所としても、日本企業の進出・当地での活動拡大を今まで以上に後押ししていく所存です。
 最後に、皆様が、健康で明るく希望に満ちた一年を送ることができますよう祈念して、私の年頭の挨拶とさせて頂きます。

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