樹海

 24日付2面でも取り上げたが、ペトロブラスを巡る大型汚職「ペトロロン」で告発された企業の一つ、エンジェヴィックスの副社長の弁護士が「ペトロロンは労働者党(PT)が政権維持のために仕組んだもの」との文書を提出した▼自政権を維持するための議会工作用資金捻出のためにペトロブラスを巡る契約を悪用、選挙時も献金の形で金を出させていたというなら、現職政治家が初めて汚職で断罪されたメンサロンと同じ構図だ。セルソ・ダニエル市長殺害事件当時、大サンパウロ市圏サントアンドレの公共交通機関経営者達が袖の下を請求されていた状況とも重なる▼追い討ちをかけるように、ペトロロンの主犯と言われてきた闇ブローカーのアルベルト・ユセフ被告の弁護士も、「自分の顧客はPT政権維持のために仕組まれた権力プロジェクトに組み込まれた駒の一つに過ぎず、疑惑を解き明かす鍵などではない」とする文書を23日に提出した。パラナ連邦地裁で裁かれている企業家らは、本当の黒幕は政治家で、自分達は「贖罪のヤギ(スケープゴート、他人の罪を負わされる身代わり)だ」と言っている▼もしもそれが本当なら、黒幕のはずの政治家達は金を貢いだ企業家達よりも厳しく罰せられるべきだ。でも、メンサロンの場合もジョゼ・ジルセウ元官房長官らは企業家達より刑が軽く、既に自宅軟禁になっていたりする。ジルセウ氏はPT内での権力を再度得ようと画策し始めたとたんにペトロロンへの関与が言われ、PTがトカゲの尻尾きりをやる意向とも。政界の常識は庶民にはわからない事だらけだが、メンサロンやペトロロンを引き起こした体質の改善や浄化はいつの事やら。(み)

image_print