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商議所昼食会=ブラデスコ銀行取締役が講演=ブラジル経済の行方テーマに

講演中のバーロス氏

講演中のバーロス氏

 ブラジル日本商工会議所(村田俊典・としふみ会頭)の定例昼食会が8日、サンパウロ市内のチボリホテルで行われ、会員ら約170人が参加した。特別参加したブラデスコ銀行取締役のオタビオ・デ・バーロス氏が、「第二次ルセフ政権の経済政策とブラジル経済の行方」をテーマに講演を行った。
 バーロス氏は、ブラジルの現状を「コーナーに追い詰められたボクサーの様だ。前への逃亡を図らなければならない」と述べ、JPモルガン社が金融業者を対象に実施した調査結果などを基に「2015、16年は調整過渡期。この時期を過ぎれば、経済成長率なども回復するだろう」と分析した。
 今後予想される困難として、工業の衰退と労働人口の減少を上げた。前者に関しては「市場経済の更なる開放と税制改革が必要である」とし、後者については「抜本的な解決が難しい問題であり、同様の問題が先行している日本などの対策に学ぶ必要がある」とした。
 また、ジョアキン・レヴィ財務大臣の施策について、前大臣から引き継いだ問題のある経済政策を、就任からわずか400日で転換した点や、為替相場の調整や年金制度の改革などに積極的に着手していることから、「国際的にも認められている存在だ」と高く評価した。
 ペトロブラスに関する一連の事件については、「捜査が進み、ペトロブラスの脱政治化が進むのは歓迎するところ」と述べ、あわせて、GDP比にみる輸入の少なさから市場開放の必要性を語った。
 また、質疑応答で同事件の日本企業への影響を問われ、「設備投資額は減少するが、設備投資自体がなくなることは無いが、関係分野では業界再編も起きかねない」と注意を促した。
 さらに、「世界中のゼネコン業界で起きていることだが、ブラジルのビジネスには汚職を前提とした面がある。インフラ整備は今後の最重要項目なので、悪を罰しながらも、優秀な技術を持つ企業は救わなければならない」と語った。

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