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第28回 ブラジルはグローバル化のバロメーター ①

 今の若い人は知らないと思うが、昔はメイド・イン・ジャパンは、昨今のメイド・イン・チャイナと同じく、粗悪品、すぐ壊れるものの代名詞だった。それが、ある時期から日本製品の評価が高まり、優良品を表すようになり、今やアジアの人は競って購入するようになった。特に日本市場向けに開発されたものは、確かに技も細かく、クォリティが高い。時にはここまで本当に必要かと思うほど凝っているものもあり、その分金額も高い。品質も行き過ぎると日本かアジアの一部でしか売れなくなる。今のもの作りは、高機能でハイクォリティなものを、グローバルに発売し、コモディティ的な価格で提供する必要がある。特にそれが世界レベルで起こっているのが携帯電話の世界だ。ここまで世界共通のものがほぼ同時期に販売されている例も珍しい。残念ながら、日本企業はその分野ではメインプレイヤーになれなかった。ところがその中に使われている部品に関しては、日本企業がかなりのシェアを占めている。これは何を意味しているのであろうか。
 1対1で、その顧客のために製品開発をする部品のようなB to B市場は強いが、各国の事情を踏まえながら、同時にグローバルに対応を迫られるB to C, B to B to Cの分野では勝てなくなっている。世界レベルのマーケティングにおいては、徐々に韓国企業、台湾企業さらにはHUAWEIなどの中国企業よりも遅れを取りつつある。ほとんどの家電メーカーが業績悪化に陥った原因もそれだ。パナソニックもソニーもB to B の分野は好調で、例えば日立などのB to B 分野が厚い企業は、経営資源をそこに集中してV字回復をしているが、それが薄いサンヨー、シャープは厳しかった。サンヨーがパナソニックにB to B分野だけ引き取られたのを見てもわかる。要するにグローバルにモノは流通させているが、実は個々の市場が見えていないのだ。グローバル市場で成功するためには、ローカルを理解した人材をグローバルに配置し、各国の責任者が判断をした数量・情報を瞬時に吸い上げ集計し、一気に投資をして製造する仕組みが必要である。さらに各国の責任者が、それぞれの市場向けにカスタマイズをしていかなければならない。グローバル化を同じものを大量生産してコストを下げ、世界に供給していくことと勘違いをしている会社があるが、それは在庫の山を築くことになる。グローバル化とは、グローバルにローカライズしていく仕組みを作り上げることである。ローカライズをしていくためには、ローカルで生活をし、ローカルの習慣や好み、性格、法律、価格勘を持っている人が判断することが必要となる。 
 特にブラジルは、一見アメリカの裏庭のように見えながらも、ヨーロッパ文化の影響が濃く、かつラテンの血が流れ、エモーショナルな消費者ではあるが、ブランドに弱く、コンサバティブな買い物傾向がある国民だ。また、輸入をすると関税が高過ぎて、どんなに良いものでも欧米の3倍から5倍すると手が出ない。消費材は、ブラジルに合ったスペックにするとともに、嗜好性・価格はローカライズをきっちりしていく必要がある。
 日本から一番遠い国の一つであるブラジルで、グローバル展開する商品を現地に権限委譲をしてローカライズを行いながら、他国と同時に販売ができるようになった時にグローバル化の仕組みができたことになるのかもしれない。

輿石信男 Nobuo Koshiishi
 株式会社クォンタム 代表取締役。株式会社クォンタムは1991年より20年以上にわたり、日本・ブラジル間のマーケティングおよびビジネスコンサルティングを手掛ける。市場調査、フィージビリティスタディ、進出戦略・事業計画の策定から、現地代理店開拓、会社設立、販促活動、工場用地選定、工場建設・立ち上げ、各種認証取得支援まで、現地に密着したコンサルテーションには定評がある。  2011年からはJTBコーポレートセールスと組んでブラジルビジネス情報センター(BRABIC)を立ち上げ、ブラジルに関する正確な情報提供と中小企業、自治体向けによりきめ細かい進出支援を行なっている。14年からはリオ五輪を視野にリオデジャネイロ事務所を開設。2大市場の営業代行からイベント企画、リオ五輪の各種サポートも行う。本社を東京に置き、ブラジル(サンパウロ、リオ)と中国(大連)に現地法人を有する。
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