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パウリスタ・スポーツ賞=59回目は21人の受賞者=92歳で現役のゴルファーも=「出産と同じぐらい嬉しい」

 「100歳でも120歳でも出来る限り、現役生活は続けるつもり」。59回目を迎えた『パウリスタ・スポーツ賞』の贈呈式(ニッケイ新聞主催、高木ラウル社長)で、ゴルフ部門の特別賞を受賞した高野ハルオさん(92、山梨)はそう力強い言葉で〃生涯現役〃を宣言した。1日午後7時より、サンパウロ市議会貴賓室で行われた同贈呈式では柔道や相撲、ゴルフなど19種目から特別賞三つを含む21人(団体)が受賞し、会場には受賞者の家族や友人、約300人が駆けつけ、会場は祝賀ムード一色となった。

受賞者を見守る来場者

受賞者を見守る来場者

 受賞者は出席者が見つめる中、各スポーツ団体代表者と来賓から記念プレートを手渡された。名前が呼ばれるたびに大きな拍手が沸き起こり、受賞者もそれに応え、笑顔で受け取った。
 高野さんは「ゴルフが自分の健康の秘訣。自分が受賞していいものかとも思ったけど、やっぱり嬉しい」と謙遜した様子で受賞の感想を語った。日系最古のゴルフ場「アルジャーゴルフクラブ」に1978年から入会し、長年理事を務めてきた。特に毎月第三土曜日に開催される「三土会」と称したゴルフコンペの運営に深く携わってきた。最近364回目の開催を数えた同会には、今でも一度も欠かすことなく出場を続けている。
 野球部門の喜友名アキラさん(79、沖縄)は受賞の喜びを「結婚や子供が生まれたのと同じくらい嬉しい」と多く友人に囲まれながら語った。
 喜友名さんは長年サンパウロ市内でクラブチームの指導者を行い、全伯ジュニア代表チームも務めた。また審判としてもルールの普及等に努め、現在は後進の審判の育成に尽力している。野球人生を振り返り「教え子たちが、立派な大人になってくれたことが何より嬉しいね。10年経っても連絡をくれる子がいるんだよ」と話す。数百人という少年たちを指導したという。
 また審判という仕事に対し「レベルの高い国際大会の主審を務めたときは本当に興奮したよ。陽の当たらない役かもしれないけど誇りを持っている」と語る。
 式後には懇親会が開かれ、家族や受賞者同士で喜びを分かち合い、受賞の余韻に浸った。
 本賞は終戦後に勝ち負け抗争で二分したコロニアを、スポーツ振興を通じて融和させることを目的に、パウリスタ新聞が10周年を迎えた1957年に創立された。
 当日の来賓としては池田リュウゾウ陸軍少将、野村アウレリオ市議、不在の総領事の代理を務めた佐野浩明首席領事、病気で出席できなかった下本八郎元州議の代理で息子マルシオ氏、羽藤ジョージ州議、各日系団体代表者らが登壇した。
 高木社長は祝辞で「日本人がもたらしたスポーツがブラジル社会に浸透しているから、日系に限らない多彩な受賞者となった。選手本人はもちろん、手弁当で粉骨砕身するスポーツ団体幹部の皆さんのご苦労に少しでも報いるため、この賞は続けられてきた」と賞賛した。
 野村市議も「市議会でこの式典を4年連続受け入れたことを誇りに思う。青少年の健全育成は社会からもっとも求められる活動であり、単なるスポーツ以上の尊い価値がある」と称えた。


家族から3人目の受賞者=空手一家の与那嶺家大集合=今回は次女ユミさん

ユミさん(左から4人目)と與那嶺一家

ユミさん(左から4人目)と與那嶺一家

 空手部門で受賞した与那嶺ユミさん(44、二世)は、16歳からブラジル代表に選ばれ、昨年の南米大会団体型で優勝するなど選手として輝かしい実績を持つと同時に、指導者としての功績が評価され受賞に至った。剛柔流7段保持者だ。
 与那嶺家は空手一家として知られており、空手範士10段の父・育孝さんが2012年最初に同賞を受賞し、続いて国内外の空手大会で活躍するユミさんの弟・公彦さんが2013年に同賞した。今回次女のユミさんの受賞により、史上初の快挙となる一家3人での受賞となった。
 ユミさんは「名誉な賞を受賞できて感激。家族を繋ぐ空手という絆に感謝している」と空手を教えた父を前に、感慨深げな様子で話した。
 空手人生で一番の思い出を聞くと、「忘れられないのは、92年にスペインのグラナダで開催された世界選手権。姉妹3人が一組になって団体戦の型の部に出場し、惜しくも4位で終わったこと。私たちより劣ると思っていた地元スペインチームが3位に入り、納得できない判定だったので特に記憶に残っている」という。
 育孝さんは「『止めたければ止めろ』と言いながら厳しくやってきたが、皆立派に育ってくれた。自慢の子供たちだよ」と表情を緩ませた。
 授賞式には育孝さん、公彦さんと共に、母エレーナさん、長女ハツミさん、四女ユウカさんを始め、家族総出で駆けつけ写真撮影に応じた。

 

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