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日系社会との連携強化を=駐ブラジル日本国大使 梅田邦夫

梅田 邦夫

梅田 邦夫

 第107回「日本移民の日」を迎えるにあたり、心よりお慶び申し上げます。
 5月下旬、モラエス下院外交国防委員長をニシモリ下院議員(日伯議連会長)と共に訪問しました。ニシモリ会長から移民107周年と外交関係樹立120周年の話をされたところ、モラエス委員長から、「移民の日に合わせ日伯関係に関する公聴会を開催してはどうか」との提案がありました。
 同時に、日本及び日本人移住者は伯の発展に多大な貢献をしている。自分の地元でもウジミナス、セミブラの協力に加え、日系人は幅広い分野で活躍し、「規律」と「真摯に仕事に取り組む姿勢」を伯社会にもたらしてくれていると述べられました。有難い評価です。
 ブラジルは世界有数の親日国であり、日本に対する厚い信頼感が存在しています。親日感情と信頼感の背景には、移住者とその子孫の方々が100年以上の間ブラジル社会の発展に貢献されてきたことがあります。
 また、ブラジル国内各地で実施されている日本祭り、盆踊り等が地域の重要行事として定着し、日本食、柔道、漫画やアニメなどが伯文化の一部になっていることも、日系社会の大きな貢献です。移住者と子孫の皆様のご尽力に心より感謝を申し上げます。
 その一方で、日系社会は世代交代の時期を迎え、若者世代の日本への関心低下等の問題に直面されています。多民族が共生するブラジルにおいて、若い世代の日系人としてのアイデンティティが時代とともに薄れていくことは自然なことかもしれません。しかしながら、若い人達が日系人としての誇りをもち、日本のよき理解者として両国関係の進展に活躍されることは、日伯両国の将来にとって極めて大切なことと考えます。
 昨年、安倍総理御夫妻が訪伯されました。大きなテーマの一つは「日系社会との連携強化」でした。その観点から、日本の今年度予算には、若い人達や指導者の日本訪問人数の大幅拡充、日系ボランティアの人数倍増、日本祭り、日本語学習、日系病院支援強化等が盛り込まれています。これらの措置が5年後、10年後の日本と日系社会との連携強化に少しでも役立つことを願っております。
 本年は、外交関係樹立120周年を迎え、三つの特別事業(花火祭り、日伯共同プロジェクト展示会、日本館の改修)に加えて、各地の日本祭り、盆踊り、運動会等も記念行事の一環として開催いただいています。皇族の来伯、ルセーフ大統領の訪日も計画されています。
 来年にはリオ・オリンピック・パラリンピックが開催され、ブラジルに対する日本の関心は間違いなく大きくなります。私としましては、日系社会によって育まれた日伯両国の「強い絆」を強化でるよう全力で取り組む所存です。皆様の御支援を宜しくお願い致します。
 皆様の一層の御健勝を祈念して、私の祝辞とさせていただきます。

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