知花がオール一本勝ちで金!=汎米大会柔道66キロ級で=地元開催リオ五輪へ弾み=ビラ・カロンの柔道一家

 南北アメリカ大陸の代表選手が一堂に会する4年に一度の祭典、第17回パンアメリカン競技大会が10日、カナダ・トロントで開幕した。来年のリオ五輪に向けての試金石となる同大会で12日、柔道男子66キロ級の知花シャルレス(チャールズ・チバナ、26)が金メダルを獲得した。オール一本勝ちという快挙を達成し、「ブラジル柔道界にとっても大きな勝利だ」と本紙に歓喜の声を寄せた。

金メダルに笑顔がはじけた(Foto: Roberto Castro/Fotos Publicas)

金メダルに笑顔がはじけた(Foto: Roberto Castro/Fotos Publicas)

 知花シャルレス選手=サンパウロ市ビラ・カロン区在住=の祖父・知花広範(こうはん)さんはブラジル柔道愛好会の会長を長年務めた人物で、父マリオさんも沖縄県人会の年中行事「柔道大会」実行委員長を務めた根っからの〃柔道一家〃だ。
 大会3日目、準々決勝から登場した知花は、グスタヴォ・ロペス(エルサルバドル)との初戦に臨み、危なげなく勝利した。「今大会は心身共にいい準備ができていた」という自信そのままに1分11秒で一本勝ち。順調なスタートを切った。
 続く準決勝、セルジオ・マッテイ(ベネズエラ)戦でも51秒までに技あり二本で快勝。決勝進出を決めるまで、1分も必要としなかった。
 金メダルを前に立ちはだかったのは、地元カナダのアントワーヌ・ブシャール。組み手で激しい攻防を見せながら、相手に有効を先取される。今大会、初めてリードを許す展開だったが慌てなかった。
 その後、有効を奪い返し振り出しに戻すと、4分13秒、相手が足を絡めてきたところを裏投げで切り返し、一本を奪った。「相手のことはよく知っていたから、ミスを待ってカウンターを仕掛けた」と、エスタード紙が落ち着いたコメントを載せている。
 客席で歓喜する父マリオ、母ヒロコさんら5人の家族にガッツポーズで応え、金メダルの喜びを分かち合った。本紙ポ語版の電話取材に応じた知花選手は、「次の日は全身痛くて仕方なかったが、目標を達成した喜びは大きかった。個人だけでなくブラジル柔道界にとっても大きな勝利だ」と誇った。
 祖父の勧めで3歳から始めた柔道。彼が貫くのは、一本勝ちにこだわる日本の伝統的なスタイルだ。カザフスタンでの世界柔道(8月24~30日)を経て、来年のリオ五輪へ。地元開催の祭典でも、日本式柔道で世界の頂点を狙う。

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 パンアメリカン大会では2日目に登場したフェリペ・キタダイも、柔道男子60キロ級で銀メダルを獲得している。ミュンヘン五輪銅メダリストの石井千秋さんは、「ブラジル人が優勢のパンアメリカンは自信を持って戦える。でも五輪には日本だけでなく欧州にも有力選手がいるから…」と苦戦を予想。とはいえ、来年の地元勢の躍進を期待したいところ。
     ◎
 そんな中、知花シャルレスはメダルの筆頭候補だが、日本選手との相性は決して良いとは言えない。2013年の世界柔道リオ大会では準決勝で海老沼匡に、敗者復活戦でも福岡政章に敗れてメダルを逃した。でも、昨年9月にサンパウロ市で行なわれた日伯代表親善試合で、森下純平(10年の世界柔道東京大会で金)に勝っていた。この勢いで来年も勝つ?!