飛翔太鼓=父母の支えで全伯一に=「日本大会全力で頑張る」

 ブラジル太鼓協会が先月末に開催した「第12回ブラジル太鼓フェスティバル」ジュニア部門で、見事チャンピオンに返り咲いたコロニア・ピニャール(福井村)の飛翔太鼓。祝賀会を終えて一息付くのも束の間、来年3月に日本・大分県である「第18回日本太鼓ジュニアコンクール」に出場するべく、再び猛練習が始まった。
 のどかな田舎にあるコロニア・ピニャール文協会館。騒音を気にせず自由に練習できる、恵まれた環境がその拠点。2006年に結成され、13年の太鼓フェスティバルで初の優勝を果たしてからは、年間を通して週に3度はバチを握る。日語学校の授業と太鼓練習を終え、子供たちが帰路に着くのは午後8時頃だ。
 リーダーの中原一男君(16、三世)は、「3位くらいになると思っていたら優勝できて、心臓が爆発しそうになった。皆、喋れないほど泣いていた」と当時の興奮を想い起こす。強さの秘訣は「母さんや父さん、指導者の皆に『ありがとう』の気持ちで叩くこと」という。
 徳久俊行・同文協会長によれば、彼らの優勝を後押ししたのはこうした父兄の存在だ。夜の練習、指導者の招へい、大会参加の下準備への強力なサポートが活動を支えている。大会終了後、子どもらの勇姿と成長に多くの父兄も涙した。
 「技術だけじゃブラジル一になるのは難しい。後押ししている人に感謝できるようにならないと」。そんな徳久会長らの想いに応えるかのように、活動を支える人々への感謝がグループの精神文化として、年長のリーダーからリーダーへ脈々と受け継がれている。
 十人超のジュニア部門の約半数は、前回の優勝の翌年に日本大会を経験している。同会長は「日本に行くと、自信がついてすごく変わる。経験を生かしてブラジルで頑張れるような子どもたちになってほしい」と親心を覗かせた。太鼓チームの責任者・山田ファビオさんは「順位はともかく、良い発表をしてくれれば」と温かい声援を送った。
 中原君は「優勝にこだわらず、良い発表をしたい。もちろん全力で頑張ります!」と力強く宣言した。