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100人を超える来場者のうち半数が非日系だった
100人を超える来場者のうち半数が非日系だった

USP日本語国際シンポ=在日子弟の継承語テーマに

 【既報関連】サンパウロ総合大学(USP)や関係学会が『国際語としての日本語に関する国際シンポジウム(EJHIB2015)』を10日より4日間、同大日本研究所で行い、連日多様な角度から日本語に関する講演・発表が行なわれた。
 3日目はパネルディスカッション「移動する子どもたちの継承語問題」が行なわれ、在日外国人子弟たちの教育問題について3人のパネリストがそれぞれの立場から意見を述べた。
 静岡文化芸術大の石川アケミ教授は、在日外国人が日本に永住すると仮定した場合に「住んでいる場所(日本)の言葉の確立が必要」と主張。「母語(ルーツのある言語)を大切にすることも必要だが、それ以上に自分の意思を伝えられる言語を持つべき」とした。
 上智大学短期大学部の宮崎幸江准教授は、同大の所在する秦野市の外国籍子弟は、家庭で使う母語と学校で使う「学習言語(日本語)」が異なるために、進学状況に一般的な日本人学生と隔たりがあると説明した。
 さらに、それにより母語を話すことに嫌悪感を抱きかねない状況があると指摘。自身が開講するスペイン語講座では「生徒たちは徐々に積極的に参加を始める」と報告し、幼い頃から母語への理解を促すことの重要性を訴えた。
 カエル・プロジェクトの中川郷子代表は、日本で生まれ育った子どもたちがポ語の不自由なままブラジルへ戻り、学校や社会から排除されていく問題を説明し、こうした帰国子弟の支援を目的に行なうポ語講座や文化事業といったプロジェクトの内容を紹介。非日系や日本からの参加者から質問が上がる等、高い関心を集めた。

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