ホーム | 特集 | 高知県人会=「土佐の文化を伝えたい」=第4回土佐祭りに5万人=「母県に活動知ってほしい」
各界から集った来賓者で鏡割り
各界から集った来賓者で鏡割り

高知県人会=「土佐の文化を伝えたい」=第4回土佐祭りに5万人=「母県に活動知ってほしい」

 高知県人会青年部(武田アウグスト部長)が主催する『第4回土佐祭り』が、22、23日にサンパウロ市アグア・ブランカ公園で行われた。婦人部お手製の高知郷土料理の数々、特設ステージでは同地出身のギターデュオ「いちむじん」公演などが行われた。昨年の3万人を大きく上回る5万人の来場者は土佐の雰囲気を五感で味わった。

感謝状を受け取る片山会長と飯星下議(左から2番目から)

感謝状を受け取る片山会長と飯星下議(左から2番目から)

 会場には日本食を楽しめるバザリスタの出展が多数あり、特に同県人会の出店では鯛の蒸しやカツオのたたきなど名物料理が並び、2日目には全て売り切れるほどの人気だった。
 婦人部や元県費留学生を中心に活気に溢れ、高知にルーツがあるという浜口初美さん(73、二世)は「子や孫に高知の元気な部分が伝えられるのは嬉しい」と笑顔で料理を味わっていた。
 ステージでは歌手の中平マリコさんが「南国土佐を後にして」等、歌で祭りを盛り上げ、他にもステージでは太鼓の演奏や健康体操、ストリートダンス等が披露された。
 またステージ周辺には、武田部長が「子どもも楽しめるように」と設置した遊具の数々、新設のスケートボード場も人気を集めていた。
 また同じく今回から「錦鯉品評会」も同時開催されることになり、来場者は色鮮やかな錦鯉を珍しそうに眺めていた。日本庭園も設置され、昨年より「日本らしさ」が増している様子だった。
 若者の間で人気を博していたアニメイベントでは、コスプレ大会や各種グッズ販売、バンド演奏等が行われた。

活気溢れる! 婦人部の皆さん

活気溢れる! 婦人部の皆さん

 土曜日に特設ステージで行われた開会式には、高知県人会・片山アルナルド会長、武田部長、羽藤ジョージサンパウロ州議、野村アウレリオサンパウロ市議、〃移民の祖〃水野龍の息子の水野龍三郎氏、本門佛立宗のコレイア教伯教区長等が出席し、挨拶を行った。
 途中、飯星ワルテル連邦下議から片山会長に功労者として議会の感謝状を贈られると、拍手が沸き起こった。片山会長は恐縮しつつも、笑顔で受け取った。
 同祭は入場無料。5万人が来場しても、県人会の収益としては「わずかなもの」と片山会長は明かす。それでもサンパウロ市から文化事業として認められ、ステージ費用等の補助を得て、今回4回目の開催を迎えた。
 片山会長は、「祭り元来の目的は土佐の文化、ひいては日本文化の継承。その意味で母県から我々の活動を知ってもらえることは嬉しい。これからも続けていきたい」と話した。


いちむじんの演奏に会場ウットリ=県人との交流も刺激に

県人会員と記念撮影

県人会員と記念撮影

 「自分たちの出す全てから高知を感じられるはず」。高知出身のギターデュオ「いちむじん」が迫力の演奏を両日披露、観客は卓越したテクニックに酔いしれた。
 NHK大河ドラマ『龍馬伝』のエンディングテーマで幕開け。続いて「情熱大陸」などのカバー曲や高知県伝統で威勢のいい掛け声も響いた「よさこい節」を披露。
 「地球の反対側の高知の祭りに驚いたと同時に感動している。日本に帰ったら、このことを伝えていきたい。演奏を楽しんでくれれば嬉しい」と挨拶。
 情熱的なオリジナル曲「ロストロッサ」「スパイス」では手拍子が鳴り響き、代表曲の「紫陽花」はしっとりと、最終曲では徐々に暮れゆく夕日をバックにロマンチックな雰囲気が流れた。40分間の公演が終わると聞き入っていた客席から大歓声が響いた。
 演奏を聴いていたブラジル龍馬会・大野正人会長は「これほどの演奏とは思わず、正直驚いている。もっと多くの人に聞かせたい」と感心しきりな様子。片山会長も「彼らが我々の土佐祭りで演奏してくれたことを誇りに思う」と興奮気味に話した。
 祭り前日の21日には到着直後にも関わらず、移民史料館を訪問後、県人会主催の歓迎会に出席し、母県に思いを馳せる県人との交流を行った。
 山下さんは「高知からの移民は多いと聞いていて、一度直接話したいと思っていた」「自分たちでは到底考えられない感覚を持っていて驚いた。音楽は経験値。この発見が音楽的な部分にも影響するはず」と話した。
 いちむじんは、宇高靖人さん、山下俊輔さんのクラシックギターデュオ。高知県の高校のギター部で出会い大学在学中の04年に結成。現在、世界各地で〃脱藩ギタリスト〃として活躍している。また10年より高知県観光特使も務める。


「高知を知ってもらいたい」=今年も青年部が大活躍!

塩川ファビオさんと武田アウグストさん

塩川ファビオさんと武田アウグストさん

 土佐祭りを主催する青年部は、8カ月前から毎週会議を重ねてきた。その中心となっているのが、部長の武田アウグストさん(40、二世)と塩川ファビオさん(34、三世)だ。
 10年ほど前から、リベルダーデ文化福祉協会の「七夕祭り」の運営で親交を深めてきた。
 当日も開会式の司会進行から会場周辺の管理までを行い、前日の会場設営から2日目の夜遅くまで大活躍。
 武田さんは「仕事の合間を縫って、頑張って準備を進めました。原動力は県費留学で日本に行ったこと。少しでも高知に恩返しできれば」と祭りにかける思いを吐露した。
 塩川さんも「皆が喜んでくれる場所を作って、その上で高知のことを少しでも知ってもらえればそれだけで嬉しい」と話した。
 昨年、武田さんが「次回はもっと高知らしさを出したお祭りにしたい」と話したが、今年は高知市の「はりまや橋」のパネルや日本庭園が設置され来場者を楽しませた。
 連日の疲れも見せない二人は「来年もやる」と笑顔を見せた。


第4回土佐祭りに寄せて=片山アルナルド会長

 ブラジル高知県人会並びに青年部一同、『第4回土佐祭り』を開催できましたことを心より嬉しく思います。
 在サンパウロ日本国総領事館には日伯外交120周年記念事業に認定して頂きました。ブラジル日本文化福祉協会、ブラジル日本都道府県人会連合会、サンパウロ州議会、サンパウロ市議会、環境局、議員各位、企業、農業者、会員各位のご協力があっての催しであります。
 今年はあらゆる意味で厳しい年でもございましたが、会員、青年部一同、規模を小さくしても両国の文化を維持することを目指して、交流の場を届ける趣旨を曲げずに努力している次第であります。
 この度は母県高知より県観光特使「いちむじん」のご参加を頂き、ほかにも沢山のアトラクションを準備することができました。ご来場いただきました皆様が存分に楽しい時間を過ごされたことを願ってやみません。

image_print