ホーム | 日系社会ニュース | POPOOYO=日本の味を自宅へお届け=三世アナさん 弁当宅配サービス開始
アナさん(手前)とアシスタントのルーカス・スマレス君、ジョー・ロッシャさん
アナさん(手前)とアシスタントのルーカス・スマレス君、ジョー・ロッシャさん

POPOOYO=日本の味を自宅へお届け=三世アナさん 弁当宅配サービス開始

お弁当は特に日系人に人気

お弁当は特に日系人に人気

 出汁巻き卵、大根の煮付け、たくあんに梅干―。野菜たっぷりで健康的、温かみのある日替わり弁当を日系三世のアナ・バラヴェリさん(46)がサンパウロ市イジエノーポリスの自宅で手作りし、近辺の地域に配達する新ビジネスを今年1月から始めている。
 改装したての広く明るい台所で、アナさんはエプロン姿でアシスタントに指示を与えながら、「生もの、蒸し物、炒め物、揚げ物、少なくとも6~7種の調理法を使って作る。日本料理の味を大事にしつつも、皆が楽しめるよう遊び心を取り入れて」とこだわりを語る。彼女の愛称「POPOOYO」がその店名。
 食材は極力オーガニックの良質なものを使い、一品一品丁寧に仕上げた弁当は1個38レアル。「100%満足してもらえることが大事」と、個々の顧客の要望にきめ細かく応じるサービスも喜ばれ、注文者が列をなしている。
 週に約60個を生産し、木金の二日で配達。ゴミは出さない主義を貫き、弁当箱も風呂敷も専用袋に入れて返却する仕組みだ。「上手くいくはずがないって皆反対した。信じられないかもしれないけど、全員ちゃんと返してくれている」。
 料理の腕と日本的な味付けは祖母譲り。休暇の度にミナス州ブルマジーニョにある祖父母の農場を訪れ、料理を教わった。「大皿に並べられたコロッケ、カレー、散らし寿司や唐揚げを、皆で囲んで食べたのが良い思い出」と回想する。彼女が自宅で作る料理は、今もほぼ日本食だ。
 夢は日本で思う存分「食」を体験すること。「私の日本食の知識は全部祖母や本で学んだことばかり。1年くらいアシスタントと一緒に日本に滞在して、色々なことを学びたい」と期待に胸を膨らませた。
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 各週のメニューはサイト(instagram.com/popooyo)を参照。注文はメール(anabaravelli@gmail.com)で。配達料金は20レ(土曜はアナさん宅に受け取りに行ける人にのみ販売する)。配達地域は以下の通り▼コンソラソン、イジエノーポリス、セントロ、ペルジーゼス、ラッパ、バラ・フンダ、ヴィラ・マダレーナ、ピニェイロス、アウト・デ・ピニェイロス、イタイン、ジャルジンス、パライゾ、ヴィラ・マリアーナ、リベルダーデ、リベルダーデ。


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 アナさんの手作り弁当をコラム子も注文してみたが、きれいな見栄えと優しい日本的な味付け、控えめな分量に大満足だった。特に大根の煮物は「お袋の味」と感動したのだが、作ったのはなんと、19歳の非日系ルーカス・スマレスさんだった。小さい頃から日本文化ファンで、公文で日本語を習っていた。今は大学で経済を学びつつ、半日はアナさん宅で料理補助を務める。先生の厳しい指導に、返事は「はい!」。将来が楽しみ。
     ◎
 アナさんの祖父の石井延兼さん(横浜出身)は、元コチア産組の一員だった。彼女が保管していた記録によると、41年からコチア産組の活動に参入し、飼料用粉砕機・鶏の屠殺部門を設立、68年まで代表を務めた。51年には屠殺場の近代化を目指して米国に視察へ行き、米国の技術や設備の輸入の糸口をつけ、全伯に屠殺場を普及した。老後に移ったミナスでは、水の感慨施設を作ったり農業指導を行なったりと、地域の農業リーダーとして活躍し、地域の食のあり方を変えたという。

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