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ブラジルのバランス感覚

 日系団体の会議を取材していて、定款の改正に関わるものがある。民法改正に伴うものなのだが、長く議論した挙句、改正事項が変更されたり延期になったり。「あの時間は何だったのか…」と思ったことがある。「日系人は真面目に対応しようとするけど、こんな朝令暮改の国では、まずは静観が正しいんだよ」との意見に頷いたことがある▼コラム子が車を預けている駐車場に、ビルが建築されるという。家からも近いし安かったのだが退去するしかない。日に日に車は減っていく。仕方なく割高な駐車場に移動した。後日、普通に営業しているではないか。聞けば、ビル建設は許可が下りず、管理会社が変わり営業は続行するという。要は居座るのが正解だったわけだ▼大騒動になっている医療保険会社「ウニメージ・パウリスターナ」の経営不振問題。10月1日までに、他の保険会社に顧客を移す命令が出ている(本日付7面)。いち早く契約を切り他に移るべきなのか、静観の構えを取ったほうがいいのか。判断に悩むところだ▼ちょうど診察を受けたばかりだという知人の女性に「でも、ウニメージだと検査を受け付けてくれないだろう」と医師。再診はできても検査結果がないのでは意味がない。「どうすればいいのか…」と悩んでいると、この医師は、「10月になったら正常化されるはず」と言っているとか。他の保険会社への移行のことなのか、ブラジル的に収拾が図られることが医師同士の情報で分かっているのか。損得の基準がこうしたさいの〃運動神経〃にかかっている。問題を放っておいて流れに任せる人が多いのも分かる。(剛)

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