ホーム | 日系社会ニュース | 120周年花火大会=日本風の4500発盛大に=打上げお見事、集客〃不発〃=来場予想の半分、1万人=寒さ、広報の仕方が原因?
メインステージでバンドが演奏するも、人出はやや寂しい?(午後4時ごろ撮影)
メインステージでバンドが演奏するも、人出はやや寂しい?(午後4時ごろ撮影)

120周年花火大会=日本風の4500発盛大に=打上げお見事、集客〃不発〃=来場予想の半分、1万人=寒さ、広報の仕方が原因?

外交樹立120周年ロゴ

外交樹立120周年ロゴ

 外交樹立120周年を祝うメイン記念事業である「花火祭り」が12日、サンパウロ市南部のインテルラゴス・サーキットで行なわれた。ブラジルの材料を使って、両国の職人が共同制作した花火約4500発は華麗に夜空を彩った。ただし、1年前から周到に準備していたにも関わらず、集客面では予想の半分と〃不発〃に終わったようだ。

 午前11時に開演し、約20台の食品販売車両が来場者を迎え、ステージでも多数のショーが次々に行なわれた。最寄り駅から会場内外を約10台のバンが往復し、大手テレビ局「グローボ」なども取材に訪れた。
 午後6時過ぎからは式典が行なわれ、120周年記念事業実行委員会の梅田邦夫委員長(駐伯日本国大使)や伯日商議所の村田俊典会頭、西本エリオサンパウロ州議らが登壇し、開催を喜んだ。

夜空に打ち上げられる花火

夜空に打ち上げられる花火

 打ち上げ花火は服飾デザイナーのコシノ・ジュンコさん演出の下、午後8時過ぎから夜空に舞った。心配されていた大雨は降らず、霧雨の中で日伯両国の音楽に合わせ約4500発が華麗に打ち上がった。
 曇天で冷え込む中、浴衣姿で友人と来場した大学生の飛瀬マリアさん(18、四世)は「寒くても花火大会は浴衣に限る。子どものころから日本は憧れていた。初めて見る日本の花火に感動」と声を弾ませた。
 日本から花火職人5人が来伯し、当地の材料を使って日本独特のハート型花火など「日本風」を実現した。花火の種類や順番などを演出したコシノさんは「両国の国旗カラーを取り入れた」と話し、「日本の花火文化が浸透していないと聞いて悔しかった。絶対に本物を見せて認めさせたいと思っていた」と意義を強調した。
 来場者数は約1万人。当日は終日冷え込んだが、見込みの2万人を大きく下回った。周年事業の寄付金200万レのうち、花火大会だけで165万レをつぎ込んだメイン事業なだけに、想定の半分という来場者数では成功とは言い切れない部分が残る。
 この結果を受け、梅田大使は「日系社会には実行委員を通じ広く周知されていたと考える。ブラジル社会に対しては事前にグローボニュースで発信され、私自身もフォーリャ、エスタード両紙に直接説明するなど周知に尽力した」との見解を示した。「最大の理由は天候にあっただろう。素晴らしい花火ショーだっただけに、もっと多くの方に観て頂きたかったというのが正直な気持ち」とも語った。
 数万人規模の日本祭りは各地で開催されている。15万人集めた県連日本祭り(予算約300万レ)の半額に匹敵する大金を投じただけに、どこか歯切れの悪さが残るメイン事業となった。


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 花火祭りには日本から5人の職人が来伯した。花火技師の派遣仲介業を行なうパイロスミス社(東京)の桐原大和代表取締役は、「火薬の質が違う中、日本らしい鮮やかな花火を再現できた。前日まで雨天が続く中、ブラジル人らも懸命に準備してくれた」と共同作業に喜びの声。「ただちょっと開き方に伸びがなくて…」との反省点も。「ブラジル製日本風花火」という新しい取り組みは、今後〃大輪の花〃を咲かせるか。

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