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真剣に話し合う様子
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聖南西連盟=300万プロジェクトを承認=日系連合会初の大型資産に=10年後の未来へ布石打つ

 「300万レアルプロジェクトを承認します」。聖南西文化体育連盟(UCES、山村敏明会長、25団体)は12日午前、タピライ文化体育協会の会館で今年3回目の定例役員会を開催し、約40人(13団体)が出席し、天野鉄人さんから前回提案のあった同プロジェクトを正式に承認した。これで10年後には同金額の資産ができることになり、連盟の将来存続と活性化に向けた資金を手に入れることになった。

 同連盟は2012年から天野さんの提案で「100万レプロジェクト」を始めた。同連盟傘下の有志団体が現在までに18万レを積み立てたのに対応し、天野さんが20万レを寄付し、銀行利子を含めて約44万レになっている。
 一部文協の未払い分4万レなどを天野さんが立て替え、さらに70万レを補填して計120万レアルにし、それを高額預金者向けの特別な利子付き口座に10年間に預けることで300万レまで増やす。これを基金にして原資には手を付けず、利子の一部を連盟の活性化事業や運営費に充て、活動を永続化させる狙いだ。
 古川シルビオ評議委員長やレジストロ文化体育協会の清水ルーベンス会長も「リスクはゼロ。ぜひやるべき」と力説し、小川彰夫広報理事も「日系連合会で唯一、潤沢な資産を持つ貴重な機会」と賛同した。続いて決議を採ると、100万プロジェクトに参加していた団体が全員一致で賛同した。
 今回の承認を受け、天野さんは10月5日にまでに振り込む約束をしているという。小川理事は、参加団体すべてで天野さんを「名誉会員」にするよう提案し、各団体が協議することになった。
 山村会長は「日本語教育に使ってもいい。UCESのスポーツ部門からブラジル代表選手を出せれば最高。30代、40代の人のために今のうちに種を蒔いておかなくては。彼らが役員として連合会を指揮する時代に安定した運営ができるようにしたい」と語った。



■ひとマチ点描■全伯唯一のショウガ祭り

タピライ文協の婦人部の皆さん(右から2人目が又吉会長、右端が杉浦さん)

タピライ文協の婦人部の皆さん(右から2人目が又吉会長、右端が杉浦さん)

 聖南西文化体育連盟の会議会場となったタピライ文化体育協会の青木又吉マルコス会長(53、三世)によれば、1954年に50家族で創立した。最初に日本人が住み始めたのは1932年と古く、60年前後には320家族まで増えた。
 現在は日系55家族が同市に住み、ほぼ全員が会員。「50年代はトマテ作りが盛んで、ブラジルで最初(1954年)にトマテ祭りをやったのはここ。母がその頃のミス・トマテ」と胸を張った。
 今はショウガと里芋の里として知られ、全伯で唯一「ショウガ祭り」を開催している。杉浦秀忠さん(68、二世)によれば、「77年からショウガ作り始め、今年19回目の祭りをやった。里芋もそうだが、生産者は日系15家族」。里芋はマンジョッカかと思うくらい大きくて味わい深い。ショウガの最大の用途は寿司のガリだとか。共に地味な食材だが、日本食になくてはならない〃縁の下の力持ち〃といえそうだ。(深)

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