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フォーリャ紙論説が弾劾=「ジウマはブラジル外交に損害与えた」=13年、秋篠宮殿下、今回も

 フォーリャ・デ・サンパウロ12月1日A14面には、コラムニストのアレシャンドレ・ヴィダル・ポルトが「ジウマはブラジル外交に損害与えた」という見出しの大統領訪日直前キャンセルを厳しく批判する論説が掲載された。以下はその本文。
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 外交とは外国との問題を解決する手段であり、けっしてその逆ではない。外交的な政治能力が著しく欠乏するジウマ・ロウセフ大統領の場合、その外交の考え方は、現代建築家のテーゼ(主題)のように「シンプルなデザインであるほど最良(=外交が少ないほど良い)」というものに違いない。
 大統領がブラジル外交に与えた最新の損害は、日本とベトナム行きを直前にキャンセルしたことだ。補佐官は「国家的な問題」と理由付けした。
 もしあなたが〃国家的な問題〃を考えたとき、まず史上最悪の贈収賄スキャンダル(ペトロロン)や歴史的な環境汚染事故(マリアナ)を思い浮かべるだろう。ところがこの場合の〃国家的な問題〃はもっと分かりやすい。2015年の会計において政府はこれ以上、予算執行ができないからだ。これで(外交的に)意味が通るのか?
 特記すべきは、これが2回目ということだ。一回目は2013年で、このときも出発の数日前にキャンセルした。ベトナムに関しては、2012年に発生した別の外交的事故、ベトナム共産党主席がブラジル訪問の途上、予定されていたジウマ大統領の対応が受けられないことが分かったこと―を乗り越えるための訪問だった。
 大統領は先月、地球の反対側からわざわざ来伯された秋篠宮殿下を20分間も待たせた。日本を知るものにとっては当然だが、直前に予定時間をずらして、待たせることほど失礼なことはない。ジウマ大統領はそんな失礼を2度、立て続けにやった。
 日本は世界で3番目に大きな経済大国であり、科学技術の中心地、投資大国だ。ただし、それ以上に日本は、ジウマ大統領がこの世界に現れるはるか前、120年にわたる長い、太い人的関係を持つ友好国だ。
 大統領は友人関係を楽しむ人ではないようだが、ブラジルはそれが好きであり、必要でもある。
 大統領訪問には、数カ月の準備期間が必要であり、両国の多くの官僚がそのために作業に尽力する。当然のこと、多大な専用車の賃料、宿泊料、諸経費がかかる。
 日本政府は税金を納める自国民に、キャンセルされた訪問の準備に、どれだけの出費があったかを説明しなければならない。ジウマ政権は誰にも満足感を与えない。だからこそ、あんな簡単にキャンセルができるのだろう。

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