ホーム | 文芸 | 読者寄稿 | ブラジル紅白歌合戦に参加して=福岡県粕屋郡在住 綱脇徹平

ブラジル紅白歌合戦に参加して=福岡県粕屋郡在住 綱脇徹平

 私がブラジル紅白歌合戦に審査員として参加するきっかけになったのは藤瀬圭子さんとの出会いがあったからです。
 私の祖父は日本の国策で溶鉱炉を設計するエンジニアとしてブラジルに勤務しておりました。そんな祖父が約40年前、飛行機事故で亡くなりました。
 25回忌の時に父と圭子さんのご主人・千賀人さんと繋がりがあってお会いし、そのご縁から私と圭子さんはこの何年か日本とブラジルでのメール友達でもあります。
 そんな圭子さんがサンパウロの舞台で司会業をやっている事を知ったのはつい最近で、ブラジルの紅白歌合戦を是非とも観てもらいたい!とのお誘いを受けました。
 山側では初雪が降り始めていた日本の福岡県から出発すること33時間、お尻の痛みにも耐えながら、やっと着いたサンパウロはとても暑く、スーツで参加した紅白当日は汗だくになっていました。
 ブラジル紅白歌合戦は参加者全員がとても明るく、終始華やかな雰囲気に包まれており、パワフルでお客さんにも活気があり、それはもう熱いステージです。
 特に特別番組の『歌でつづる戦後70年』に選ばれた道田エジソン氏をはじめとするプロ級の歌手たちの素晴らしさは、歌に込めた各人の想いや歌唱力は勿論、日本人の私が『日本よりも日本らしさを感じる』とても感動するものでした。
 若輩者の私でも戦後の情景を感じ、どのような歌が当時の人々を勇気付けてきたのか、肌で感じることが出来ました。
 日本で行われている流行歌手が出てくるだけの紅白とは意味が違い、後世に残すメッセージとしても大変意味のあるコーナーだったと思います。素晴らしかったです。

ブラジル紅白歌合戦

 私自身、祖父との繋がりで出来たブラジルとの関係。未だ勉強中ではありますが、日本との外交関係樹立120年の今年、開拓民として渡った日本人の方々の想い、またその苦労を、ほんの少しではありますが、この紅白を通してお聞きすることも出来ました。
 これからも日本とブラジルの『心の懸け橋』になっているブラジル紅白歌合戦を続けていただき、広く日本の真心を歌の力で伝え続けていただきたいです。
 最後に、主催者のNAKブラジル日本アマチュア歌謡連盟の北川ジュリア会長、そして見事な指揮でフィナーレを飾った北川朗久先生、ありがとうございました。

image_print