ホーム | 日系社会ニュース | サッカーJリーグ=大宮がボール30個寄付=09年開始、7回目の事業=発起人、社長ら初の手渡し
記念撮影に納まる黒田さん(前列左端)ら。22日フレゲジア・ド・オーにて(提供写真)
記念撮影に納まる黒田さん(前列左端)ら。22日フレゲジア・ド・オーにて(提供写真)

サッカーJリーグ=大宮がボール30個寄付=09年開始、7回目の事業=発起人、社長ら初の手渡し

 サッカーJリーグ1部に所属する埼玉県のチーム、大宮アルディージャの鈴木茂代表取締役社長らが22日、使用済みのサッカー用品をサンパウロ市内の3つのサッカースクールに贈呈した。2009年から始まったエコ・ボールプロジェクト「サッカーボールを、ブラジルの子どもたちに送ろう!」の第7弾だ。これまでは大宮・リベルダーデの両ロータリークラブ(RC)を通じ寄贈してきたが、開始以来、クラブ側から初の手渡しが実現した。

 今回は「フレゲジア・ド・オー」「ノーヴァ・グリセリオ」「ヴィラ・マリア」に、使用済みサッカーボール計30個と練習用ゼッケンを寄付した。この取り組みは、アルディージャの元職員、黒田卓志さんが08年にロータリーの交換派遣制度で当地を訪れたことがきっかけ。
 当時訪れた市営のフレゲジア・ド・オーで、「サッカーに集る子どもが(サッカーではなく)練習後にもらえるビスケットやパンを目的に集っていた」という、あまりに貧しい〃サッカー王国〃の現状を目の当たりにした。苦しい経営の中で活動する同クラブからは貴重なユニホームを贈られた。
 それに対し「何か恩返しをしなければいけない」と強く思い立ち、帰国後に早速、大宮RCに協力を仰ぎ、リベルダーデRCの元会長、故阿部義光さんを当地側のコーディネーター役として企画を始めた。
 開始以来、初来伯した黒田さんは22日、3チームそれぞれの練習場でボールなどを直接贈呈した。念願の手渡しが叶い、「こんな日が来るとは思っていなかった。子どもたちの目は8年前以上にキラキラと輝いていた。皆で磨いたボールがこの地で活用されていることが本当にうれしい」と話し、継続を誓った。
 この来伯はチームスポンサーであるターキッシュエアラインズの支援によって実現した。黒田さんと共に大宮アルディージャの鈴木社長、事業本部の原木壮輔さんも訪れた。
 約1週間の滞在中は大宮RC・平田繁会長らと共に、リベルダーデRCとの交流昼食会に出席し、コリンチャンスやサンパウロなどのサッカークラブ施設も視察。25日に離伯した。

「ブラジル人への信頼厚い」=鈴木社長が今季へ期待

交流昼食会でペナントを交換するリベルダーデRCのマルコス・シャーベス会長(左)と鈴木社長

交流昼食会でペナントを交換するリベルダーデRCのマルコス・シャーベス会長(左)と鈴木社長

 大宮アルディージャは現パルメイラスのFWラファエル(09~12年)、代表歴もあるFWクリスティアン(05年)など数多くのブラジル人選手もプレー。昨季も主力ブラジル人が2部優勝に貢献した。2002年日韓W杯では、セレソンが同クラブの本拠地で合宿するなど当地との縁も深い。
 長年クラブ経営に携わる鈴木社長は、01~06年に在籍したDFトニーニョを例に「彼はサッカーに対してとにかくまじめで、献身的に取り組んでいた。ラテン系なのに空気を乱さないことに、驚きと感心が芽生えた」と評価する。
 以降、ブラジル人への信頼は揺ぎ無いものに。「結果が出なければ、荒れたりチームの雰囲気を乱す外国人もいるだろう。だがラファエルなどのブラジル人は違った」。
 昨年は04年以来の2部リーグで、苦しみながらも見事優勝。1年で1部に返り咲いた。チームは新シーズンに向け既に始動している。「今年もブラジル人が所属する。1部定着、上位進出を目的とするチームにとっても、主力、助っ人としてブラジル人は大切な存在だ」と期待を寄せた。

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