エマヌエル賛徒さんの小説=『ある日曜日』掲載を開始

 パナマ国在住の日本人、ペンネーム「エマヌエル賛徒」さん(東京都杉並区、60)の中編小説『ある日曜日(Um Dia de Domingo)』を、著者の許可をえて本日から転載を開始する。
 慶應義塾大学で経済を学び、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で開発経済学とラテンアメリカ研究を専攻。現在は日本の会社から派遣されてパナマに駐在する傍ら、自分のサイトでブログや小説を発表している。
 この小説は、ブラジル日本移民百周年の08年にブログで発表したものを加筆修正した作品。
 主人公ジュリオの父は進駐軍兵士、1949年に東京の駅で保護された天涯孤独の混血児だ。幼少時にいじめを経験した彼は、人生に希望を見出すために16歳で南米へ渡った。
 混血児を預かるためにエリザベス・サンダース・ホーム(神奈川県大磯)を設立した沢田美喜が、8人の青年をパラー州の第2トメアスー移住地に聖エステファニー農場を65年に作って移住させた逸話に似ている。
 南米で成功を収めたジュリオは日本に戻り、在日日系人を手助けする活動を行なっていた。そんなある日、出稼ぎ中の男が訪れ、「妻が変死した」と話したことから、新宿歌舞伎町や群馬県大泉、サンパウロ市など日伯を股に掛けた物語が展開していく。
 「小説は自分の知識と経験の範囲内でしか書けない」というエマヌエル賛徒さんの新タイプの〃移民小説〃といえそうだ。