エドアルド=リオ五輪の年に紅白出場誓う=非日系初の演歌歌手、凱旋=『歌と踊りの祭典』出演

 サンパウロ市ジャバクアラ区出身、非日系の男性演歌歌手エドアルドさん(32、プロダクションオーロラ所属)=東京在住=が、文協大講堂で6日に行なわれる『日伯交流・歌と踊りの祭典』に出演、凱旋コンサートを行う。去年10月にデビューした新人ながら今回、日本舞踊の家元など芸能界の大先輩と舞台をともにする。デビューまでの苦労、日本での芸能生活、演歌への愛――リオ五輪の年に活躍が期待される彼に、意気込みを語ってもらった。

 「日本でプロ歌手になる」と決意して旅立ち、5年ぶりに故郷へ戻った。「空港でブラジルの皆さんが熱烈に歓迎してくださり、涙がこぼれました」と目を潤ます。帰聖翌日の4日に来社し、取材に応じた。
 日本では最初、弁当屋、運送会社の倉庫係、カラオケ喫茶、マクドナルドなど色んな下積みアルバイトを続けデビューを目指していた。
 生後すぐ、育ての親・日系二世ナツエさんの家に預けられた。演歌が流れる家庭で育ち、「5歳の時、細川たかしさんが『浪花節だよ人生は』を紅白の舞台で歌うのを見て演歌に魅了された」。カラオケ指導者の北川彰久さんに師事し、歌だけでなく日本語や礼儀作法にいたるまで厳しいレッスンを耐え抜いた。
 実は小学生時代、訪日就労した親に連れられて3年間を京都・群馬で過ごした。公文で日本語の基礎を覚え、帰伯後の01年には日本語検定試験2級、全伯スピーチコンテストでも優勝した。
 デビュー後、今までにNHK歌謡コンサートに2回出演。キャンペーンで日本全国を忙しく回る日々だが、「一番やりたかったのが演歌歌手。自分の歌を聞きに来てくださる方がいて、これ以上嬉しいことはない」と声を弾ませた。2月25日には日本アマチュア歌謡連盟の「NAK日本流行歌(はやりうた)大賞新人賞」も受賞した。
 育ての母・ナツエさんは今年で62歳。エドアルドさんを支えるため、今も東京のコンビニ用のパン工場で1日12時間も働いている。
 今回、芸能界で活躍を続ける里美流家元や新内枝幸太夫さんらと同じ舞台に立つ。エドアルドさんは「本当に光栄。私はまだデビュー間もない新人。大先輩の公演に入らせていただけて夢のようです」と語った。しかも文協の舞台は、彼が11歳の時に初めて人前で歌った場所。「運命を感じずにはいられません」と感慨深そうに述べた。
 ブラジル人演歌歌手としてリオ五輪を迎えることに関し「日伯のかけ橋となれることなら、何でもさせていただきたい」と熱い意気込みを見せた。今年の目標はズバリ、「紅白出場。ブラジルの皆さんに出ましたよ!と報告できたら最高です」と目を輝かせた。
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 エドアルドさんは6日午前10時からサンパウロ市文協大講堂で行なわれる『日伯交流・歌と踊りの祭典』に出演。7日午後7時からはモジ・ダス・クルーゼス市のテアトロ・バスケス(R. Dr. Correa, 515 – Centro)でもコンサート。どちらも入場無料だが保存可能食品1キロを持参。問い合わせは北川会長(11・97530・9683)、藤瀬圭子プロダクション(同・3148・1482)まで。

 

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 エドアルドさんはデビュー前、ブラジル出身で唯一紅白歌合戦に出場したマルシアにも挨拶に行ったという。「プロを目指している」と伝えると「同じブラジル出身者として大歓迎。がんばって」と応援してくれたと嬉しそうに言う。芸能界では多くの出会いを経験。「テレビ出演で演歌界の頂点である北島三郎先生にお会いした時、握手とともに激励してくださいました」と目を輝かせて語った。
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 日本語能力検定2級を持つエドアルドさん。読み書きまで堪能な理由を尋ねると「とにかく歌の歌詞で覚えましたし、公文もやっていた」という。記者とメールでやり取りした際、35個の質問にあまりにきれいな敬語の長文で返答してきたので、編集部では「マネージャーが手直ししているのでは」という疑惑が生まれたことも。パソコンではなくアイフォン(メール送信できる携帯電話)で返信していると言われ、2度びっくり。