ホーム | 日系社会ニュース | 小山ウーゴ、7度目の五輪へ=卓球女子代表監督としてリオに=「自信持って戦う選手見て」
子どもらを背に笑顔を見せる小山監督(Text, foto=Yuki Ogura) 160308-oyama-ogura
子どもらを背に笑顔を見せる小山監督(Text, foto=Yuki Ogura) 160308-oyama-ogura

小山ウーゴ、7度目の五輪へ=卓球女子代表監督としてリオに=「自信持って戦う選手見て」

 ピンポン、ピンポン、ピンポン――聖州サンベルナルド・ド・カンポ市にあるサッカー競技場の一室から、小気味良くピン球が弾む音が聞こえてくる。40年以上続く市営の卓球教室で指導するのは、同市生まれの日系三世、小山ウーゴさん(46)だ。選手として6度の五輪を経験した彼が今冬、女子ブラジル代表を率いて母国開催の五輪に臨む。

 マレーシアでの世界大会団体戦(2月28日~3月6日)を終えた直後の8日、疲れも見せず笑顔で取材に応じた。「日本も遠いけどマレーシアも遠いね」。この日は帰伯後、初めての現場復帰。6日に戻ってきたばかりだが早速指導に当たった。
 午後3時前になると、近所に住む10代の学生らが少しずつ集ってくる。生徒は非日系も含め5~10人。ランニング、ストレッチなどの準備運動を経て打ち込みを始める。小山さんは、日常の練習風景を見つめホッと一息ついた。
 監督自身もこの教室から卓球人生を始めた。当時通っていた市内の日語校で友人から誘われたという小山少年は、7歳から通い始め、翌年には毎日のように練習に明け暮れた。その時ただ一つ、指導者からは「学業優先。毎日練習できるのは学校の5段階成績がAとBのみ」との条件がつけられた。
 その教えは指導者となった今も心の支えとなっている。「まじめ」「ひたむき」――そんな日本人らしい姿を、今の代表選手にも植えつけようと意識している。
 日系のカロリーネ・クマハラ(20)、ブルーナ・タカハシ(15)、中国生まれのグイ・リン(22)、伯人のリジア・シルバ(35)で臨んだ今回の世界大会。各国がレベル別4クラスに分かれる中、世界ランク26位のブラジル女子は初めての1部で苦戦した。そこには日本や中国などの強豪も同居する。24チームによる世界最上位グループでリーグ戦5戦全敗。21位に沈んだ。
 「選手らは良い国際経験を積んだ。敗れはしたが自信を持ってほしい」。中南米では最高位につけたが、母国の五輪で雪辱を誓う。
 本人は12年ロンドン五輪を境に一線を退いた。当時から打診のあった女子代表監督に就任。「自分のことばかり考えていた選手時代とは全く違う。相手の研究もより丹念に行なう必要がある。選手らは私の話に耳を傾けてくれるので楽しく過ごしている」と、充実した監督生活の様子を語った。
 選手らは来月、チリでの五輪予選に臨む。五輪本大会での目標は「団体戦でまずは1勝すること」と慎重だが、「選手らには自分を信じて戦う意識を持ってほしい」と母国開催に奮起を促す。「日系人も代表に選ばれるだろうし、皆にも世界の舞台で懸命に戦う姿を見てほしい」。そんな期待を胸に、自身7度目の五輪に挑む。

■大耳小耳
 卓球女子の小山ウーゴブラジル代表監督。指導の傍ら財団を設立し、競技の普及活動も行なっている。目指すは学校での体育科目に卓球が採用されること。現在は聖州サントアンドレの一校のみという。「聖市やリオでも採用されれば」と目標を語る。日本だとどの学校にも卓球用具が置いており誰もが楽しめる。当地でも、道具さえ揃えば遊び感覚で興味をもちそうだが、まずは競技の認知を広げることが先決か。

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