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新工場前でのテープカットの様子
新工場前でのテープカットの様子

トヨタ自動車=中南米初、エンジン工場開設=世界初の先端技術も投入=大不況の中、新規雇用320人

 昨年下がり続け、今年も4月までの自動車販売数は前年比3割減――。そんな〃底の見えない井戸〃状態の業界の中、数少ない「勝ち組」は日本車勢だ。中でも先月販売開始となった『新型エティオス』で勢いを見せるトヨタ自動車は10日、聖州ポルト・フェリス市でエンジン工場開所式を行った。エンジン工場開設は南米カリブ地域で初だ。1958年に同社が初の海外進出先として選んだのは伯国。政治経済が混乱する中でも伯国の可能性を信じ、活路を見出そうと意気込むトヨタの姿を象徴する投資といえる。

鏡開きで前途を祝し乾杯する関係者。右端がアウキミン州知事、左端が本社の嵯峨専務

鏡開きで前途を祝し乾杯する関係者。右端がアウキミン州知事、左端が本社の嵯峨専務


 同式典には、連邦政府からマルガレッテ・マリア・ガンディニ商工開発省参事官、ジェラルド・アウキミン聖州知事、レビ・ホドリゲス同市市長、中前隆博総領事らが招聘され、200人以上の関係者で会場が賑わった。同工場製造のエンジンが搭載された初のエティオスにエンジンが掛かけられると拍手喝采が向けられた。
 これまで日本から輸入していたエンジンを現地生産に切替えた。現地調達率は70%強となり、昨今の経済混乱によるレアル安に伴う輸入の為替リスクを回避できる。
 それの伴い、同工場には最先端技術を導入。従来は建屋が別々であった鋳造・加工・組立の各工程が一つに統合された。28カ国/地域に53製造拠点を持つ同社においてすら「世界初」だ。鋳造工程で発生する臭気を抑制し、熱排出における技術的課題を解決することで可能になったという。
 工場は約87万平方メートルの敷地面積を有し、建設には約5億8千万レアルが投じられた。本社の嵯峨宏英専務役員は「リーマン以降の厳しい経済情勢の中で、重要な投資案件だった」と振り返り、「開所式を迎えてほっとした」と胸をなでおろした。
 競合各社が集団休暇や大量解雇による雇用調整を図るなかで、トヨタは新工場稼動により約320人の新規雇用を創出した。「トヨタファミリーのため、サプライヤーのため、そして、ブラジルのために全力を尽くす」とブラジル社のスティーブ・セイント・アンジェロ最高経営責任者は力強く語った。経済情勢は依然として厳しいが、「落ち着いて腰を据えてやっていく」と冷静だ。
 ブラジルトヨタ・近藤剛史社長も「イベント出展、サービス拠点拡充により、まだ届いていないエリアで新規顧客を獲得していきたい」と意気込んだ。今年8月を目標としてサンベルナルド・ド・カンポ市にエンジン・材料評価やデザインラボを含んだ研究開発センターも開設中だ。
 政府関係者からも歓迎ムードが広がり、アウキミン聖州知事は「伯国の経済発展に対する強い信頼と取り組みに感謝する」と祝福した。


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 ポルト・フェリスに新設されたエンジン工場を見学したジェラルド・アウキミン聖州知事は、もともと医師だった経験から、「まるで大きな手術器具であるかのように精密で美しい」と新工場に太鼓判を捺した。実は耳子も渡伯前は、日本で自動車関係に従事していたが、今回のトヨタ工場の精密さや清潔さは、日本の自動車関連の工場に比べても優れていると感じるほど。いま景気が最低のブラジルで、これだけ思い切った投資をするとは、さすが。

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