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「日本文化」第2巻の表紙
「日本文化」第2巻の表紙

子や孫の日本を見る目が変わる!=いよいよ『日本文化』第2巻=増頁、内容充実で発売開始

 「これを読めば、子や孫たちの日本を見る目が変わる」―毎週土曜付けで掲載され好評を博している「国際派日本人養成講座」。そのルビ付きの日本語と、ポ語訳を掲載した本『日本文化(Cultura Japonesa)』(40レアル)第2巻が、サンパウロ青年図書館とニッケイ新聞から17日に刊行された。太陽堂、フォノマギ竹内書店、高野書店、日本語センターなどで取り扱う。
 日本独自の精神性や文化、歴史を紹介する同講座は人気が高い。ポ語訳して家族に読ませたいという要望が多く、今年の1月、青年図書館の協力で第1巻を刊行した。売り切れ寸前となっており、次の発刊を望む声が上がっていた。2巻目は170頁と大幅増ページで、内容、量ともに読み応えがたっぷり。
 今回掲載したのは同講座から4本。『パリよりも東京の方がミシュランガイドの三ツ星が多い理由』では、数百年かけて伝えられてきた技術や伝統の大切さをあげ、食事の前の「いただきます」には「命を頂く」という「食事=神聖な儀式神事」的な意味があるという説明が行われる。
 加えて、『なぜ料理カウンターが日本にしかないのか』では、調理人の真剣勝負の度合いが問われるなどの日本独特の精神が解説される。
 その他、五輪金メダルを獲得した柔道選手の言葉を通して、武道によって磨かれる心を解説した『山下泰裕』。20年ごとに建て替えられる伊勢神宮の謎に迫った『伊勢神宮を支えた千数百年』など、一見の価値ある章ばかり。
 前作同様、今回も日本移民コーナーを設け、渡辺トミ・マルガリーダ夫人を描いた岸本昂一さんの「コロニアの母」を掲載した。戦時中、サントス海岸にいた6500人の日本移民が強制立ち退きさせられた際、飢えと寒さに苦しむ人々を不眠不休で助け、戦後も聖母婦人会や「憩の園」を創立するなど、コロニアの福祉に生涯を捧げた。
 また裏表紙には特別付録として「ひらがな五十音表」。紙を置いて上からなぞれば平仮名の練習ができる。日頃は日本文化に接する機会の少ない子や孫も、これを手に取れば「日本を見る目が変る」に違いない。

 

□関連コラム□大耳小耳

 本日発売開始の『日本文化』第2巻で耳子が注目したのは、現代語訳された教育勅語。日本の日本人でも、この文章の意味を理解している人は少ない。その内容は、孝行や夫婦の和、遵法精神など日本人が継承すべき徳目を明記したもの。それが平易な日本語とポ語で読める。前作の「有徳国家をめざして」の章では、文明開化で見失われていた道徳を回復させるため、勅語が起草された背景をたどった。当地の日系人には両方読んでもらい、後世に残すべき〃日本人の特質〃を改めて自覚してほしいところ。
     ◎
 昨今の政治腐敗を受けて、ブラジルの未来を憂慮する日系社会の声は多い。その問題の根本にあるのは教育の普及とレベル向上だ。日系人は誠実さと勤勉さによって、あらゆる分野でブラジル社会に貢献してきた。躍進を遂げているトヨタ自動車のKAIZEN(改善)といった考え方も世界的に注目を浴びている。そんな日本人の考え方を、次世代のみならずブラジル人に広く普及してゆくことが〃未来の大国〃から現実の大国になるための布石か。『日本文化』出版もそんな試みの一つ。各団体でそのような取り組みを始めてみては。

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