【2016年移民の日特集号】移民の日108周年に寄せて=在ブラジル特命全権大使 梅田邦夫

梅田邦夫在ブラジル特命全権大使

梅田邦夫在ブラジル特命全権大使

 「日本移民108周年」を心よりお喜び申し上げます。
 ブラジルは世界有数の親日国ですが、その背景には、日本移民とその子孫の方々の百年以上にわたるブラジル社会への大きな貢献があります。昨年は、外交関係樹立120周年を記念し、各地の日系団体が中心になって、ブラジル全土で5百以上の行事が開催されました。
 また、現在、熊本県人会は「熊本地震被害者」のために募金を呼びかけ、既に多くの方から義援金が届けられています。更に、オリンピック・パラリンピックにむけて、競技や事前合宿が行われるリオ、サンパウロ、マナウス、サルバドールの日系団体からは、日本選手団等の支援表明を頂いています。
 このような皆様のご協力と支援に対し心より感謝を申し上げます。
 現在、ブラジルは政治、経済、倫理、感染症の4つの危機に直面し、テメル暫定政権が問題解決に向け一歩を踏み出しました。ブラジルは、新たな時代に向けて「変革」の途上にあります。
 このような状況下、日本大使館と総領事館は、「日本とブラジルの関係」、「日系社会との連携強化」に関し、次のような取り組みを行っています。
(1)「日本とブラジルの二国間関係」は、ブラジルの危機的状況下においても着実に強化されています。テメル暫定政権との間でも、民主主義、自由など基本的価値観を共有する国、特別な人的絆を有する国として、関係強化を進める基本姿勢に変化はありません。
 政治・安全保障分野では、防衛当局間交流、議員交流が始まりました。交番制度の普及、防災協力も着実に進んでいます。
 経済分野では、ブラジルの経済不況の下、日本企業は忍耐の時期にありますが、ブラジルは鉱業、農業分野に加え、インフラ整備、医療・保健、消費財市場としても重要です。ブラジル産加工牛肉の対日輸出、日本産牛肉の対ブラジル輸出は昨年末に合意されました。暫定政権が今後メルコスールをどのように見直すか注視しています。
 文化・スポーツ交流については、日系団体、JICA、交流基金との連携を強化し、日本食普及、日本語学習者の人数増、日伯大学間協力、貧困地域の青少年育成に重点を置いたスポーツ交流等に取り組んでいます。
(2)「日系社会との連携強化」は、大使館、総領事館の最重要業務の一つとして位置づけています。2年前の安倍総理夫妻のブラジル訪問後、人的交流、日本祭り、日本語、医療等の9つの分野で施策を充実しています。特に、一人でも多くの若者に日本を訪問してもらい、日本への関心を高めてもらいたいとの考えから、日本招聘プログラムを拡充しています。大使館ホームページに掲載している「日系社会との連携強化施策」を参照し、多くの方に活用いただければ幸いです。
 最後に、皆様の御健勝を祈念するとともに、皆様のご協力と支援に改めて御礼を申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。