石鎚神社スザノ遥拝所=厳かに早朝の山頂で祈る=創立60周年記念奉祝大祭

 サンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス市カッチンガ区のブラジル石鎚神社スザノ遥拝所(津野アマデウ所長)では3日、「創立60周年大祭」が行われ、地元住民ら300人以上が集って盛大に節目を祝った。同神社は1956年、ジャガイモ栽培をしていた高知県出身の津野所長(72、二世)の父親・長太氏が、その山で雨乞いして叶い、豊作になったお礼参りにと始めたもの。長太氏の出身地の石鎚山を訪れた際に御神像を預かって帰伯し、カッチンガ山へ祀ったことから始まった。以来、この遥拝所は地元の人たちに信仰され、守られ続けてきた。

60周年を迎えた石鎚神社スザノ遥拝所

60周年を迎えた石鎚神社スザノ遥拝所

 晴天に恵まれ、さわやかな空気が満ち満ちた3日朝7時、肉食を絶って身を清めた老若男女ら総勢200人以上がカッチンガ山へご神体を運ぶ登山に出発した。約1時間かけて山頂まで上ると、はるか遠くには霞がかかった山々が浮かぶ。荘厳な雰囲気に包まれたまま、ご神体を祀り、祈りが厳かに捧げられた。
 地元ピンドラーマに住む池森伯子さん(84、二世)も、毎年遥拝所での大祭に参加している。「昔は私も山へ登っていたが、年を取って行けなくなった。今は山登りが好きな16歳の孫娘が毎年友達を誘って行っている」とカッチンガ山を指さし、目を細めていた。
 下山後は登山が出来なかった信者らも集い、遥拝所にて再び祝詞が奏上され、参拝者らの家内安全と五穀豊穣の祈願が行われた。
 地元青少年グループによる太鼓の奉納や餅蒔きが行われた後、直会と呼ばれる昼食会では刺身や寿司などが立食形式で振舞われ、賑やかな60周年の大祭となった。