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リオデジャネイロ五輪=マリンガ 園尾彬 

 最近の日本の報道を見ていると、リオ五輪を「リオでじゃねえよ」というような冗談で、ことさらに「開催危うし」また「リオは犯罪都市で危険」というニュースが多いように思われます。私のようにブラジルに帰化し、当地で生活する日系人としては非常に残念な思いに駆られます。
 移住2年後、兄のコーヒー園から4キロ程離れたマリンガ市の小学校の夜間授業に通ったり、またイパチンガ市でも同様に無料の夜間小学校に通った経験があります。いずれもポルトガル語を習いたいと願う大人の私を、快く文盲対策である子供たちへの無償授業に受け入れてくれたのです。
 リオでは国立統計大学で無償で勉強することもできました。一介の外国人に過ぎない私を何の垣根もなく快く迎え入れてくれたブラジル社会の寛容さには、常にありがたいという思いを持っています。そしてまたそれには、過去の日本人移民たちの苦労があったことにも、同様に感謝の気持ちを抱いています。
 大学のクラスでは唯一の日本人という環境の中で、学友たちからは「どうして日本人はみんな金持ちなのか」とよく質問されました。また「日本人は頭が良い」という誉め言葉も聞きました。というのは、過去に首席で卒業した2世の先輩たちがいたからです。
 いま問題となっている大統領罷免に関する上院議員の演説を聞いていると、頻繁に「正直で働き者の国民のために」云々・・という言葉が聞こえます。日本人への誉め言葉が、そのままブラジル国民の一般的な素質を表す言葉となったようで、ついうれしく思ったりします。
 過去には、1980年ローマ法王訪問、1992年リオ国連環境会議、2014年ワールドカップなどが開催されましたが、いずれも無事に終わっています。1970年サンパウロ総領事誘拐事件の頃、私はリオ大使館に勤めていましたが、この事件をきっかけに危険手当が出ることになったと喜んでいた何人かの外交官の様子が思い出されます。
 これを範としてNHKや朝日新聞の特派員、ひいては民間企業にも波及したことは確かだと思うので、この危険手当が現在も続いているのではないか、そして、ブラジルが危険でないと手当てが出なくなるため、必要以上にリオは危険だと煽っているのではないか、などと疑ったりしてしまいます。
 リオで40年余り日本語を教えていた私の周りには、日本の大好きなカリオッカ(リオ・デ・ジャネイロっ子)たちがたくさん集まってくれました。「日本人は皆『柔道』『空手』『剣道』など、いずれかを学校で必修科目として習っている」と教えてきました。だから大丈夫です。
 私はスペインのマドリッドで白昼強盗に出会ったし、フランスのパリで悪童に囲まれた経験もあります。だからリオだけが特別ではないのです。少し注意すれば、リオも安全な素晴らしい都市なのです。日本人の皆さん、この親日家の多い、世界三大美港の一つと言われるリオを是非訪れて、オリンピックを楽しんで観てください。

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