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出場決定を喜ぶ伯国代表選手ら
出場決定を喜ぶ伯国代表選手ら

唯一の日系「全力で頑張る」=目前の召集発表に喜びの涙=パラリンピック代表選手団

 いよいよ目前に迫ったリオ五輪・パラリンピック。今月19日、サンパウロ市に落成したばかりの「ブラジル・パラリンピック訓練センター」で、ブラジル・パラリンピック委員会(CPB)主催の代表選手278人の「召集発表会」が行なわれ、その場で新パラリンピック大使も発表された。

アレサンドレ・ケイジ・タニグチ選手(左)

アレサンドレ・ケイジ・タニグチ選手(左)


 召集発表会では22種目の各競技代表者が登壇し、一人一人が出場に向けた熱い思いを語った。家族や支えてくれた人への感謝や、当地初開催で代表選手として出場できることに感涙のあまり言葉に詰まる選手もいた。
 パラリンピック代表選手団のうち唯一と思われる日系選手は、モジ・ダス・クルーゼス出身のアレサンドレ・ケイジ・タニグチさん(三世)。水中ダイビングでの不慮の事故で、06年に下半身不随となった。
 カンピーナス州立大学で機械工学を学ぶ傍ら、08年に車椅子ラグビーと出会い、同大学障がい者スポーツ協会(ADECAMP)に所属。「ラグビーは人生の一部だ」というほど熱中。徐々に頭角を現し、CPBからブラジル最優秀選手賞を複数回受賞するまでの選手となった。
 今大会が初出場というアレサンドレさんは、「強いプレッシャーを感じているが、とてもよい経験になるというよい期待感を持っている」として、「日米加豪などのチームが競合となるが、全力で頑張りたい」と意気込みを見せた。会場は拍手喝采で熱気を帯び、最後は登壇者全員で記念撮影。各選手がパラリンピックへの思いを新たに胸に刻んだ。
 式典でアンドリュー・パルソンスCPB会長は「リオ・パラリンピックの代表選手の選考には困難を要した。だが、過去最大にして最良の選手団となるだろう」と自信に満ちた表情で語った。新パラリンピック大使として実業家のジョゼ・ビクトル・オリバ氏、俳優のパウロ・ビリェナ、クレオ・ピレス両氏が任ぜられて喜びを見せ、代表選手らを祝福した。
 ブラジル代表団は22種目全ての競技に参加。これは今回が初で、過去最大規模になる。うち11種目44人の選手は、過去大会のメダリスト。中南米初の今大会では最大数のメダル獲得が期待されている。
 一部選手は既に同訓練センターで練習を開始しているが、本格化するのは最終調整に入る8月21日から。9月1日まで強化訓練をした後にリオの選手村へ移動し、7日開会式を迎えるようだ。
 同訓練センターは、フォンテス・ド・イピランガ州立公園に位置し、10万平方メートルの広大な敷地面積を有する。総工費3億500万レアルが投じられ、13年に着工、5月に落成した。約300人収容可能な宿泊施設を備え、15種目対応可能の世界最大級のスポーツ複合施設となっている。

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