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五輪の現場から=(4)=リオらしいパラリンピックとは

コパカバーナ海岸に登場したパラリンピックのマスコットは木の精のような「トム」(ちなみに五輪マスコットの方は猫のような「ヴィニシウス」)

コパカバーナ海岸に登場したパラリンピックのマスコットは木の精のような「トム」(ちなみに五輪マスコットの方は猫のような「ヴィニシウス」)

 ブラジル全土が熱狂したリオ五輪の閉会から2週間あまり。独立記念日の本日、パラリンピックが開幕する。
 とはいえ、リオですら五輪直後は「さあ、次はパラリンピック!」といった期待感は街に漂っていなかった。むしろ歴史的なジウマ大統領の弾劾裁判の進行に耳目が集まっていた。
 だから一時はチケットの売れ行きも伸びず心配された。でも結局は「五輪ブームには乗り遅れたけどパラリンピックは見たい」「連日報道された五輪パークを一目見たい」と語るリオ市民が徐々にチケットを買いに走り、ついに250万枚の内150万枚が4日までに販売された。
 そもそもパラリンピックは、観客動員数や経済効果がいくら―といった指標だけで成功を計れるものではない。「パラリンピックでは身体的ハンデを持つ人との共生意識を市民に植え付けるべきだって? そんなの日本人より既に高いじゃないか」と両国の事情を知るリオ市民に言われた言葉が印象的だった。
 身体的ハンデをもった観客が多数訪れ、健常者が普通に助けをさしのべる。そんな観客席の情景も、パラリンピックのもう一つの見所かもしれない。(規)

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