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パラリンピックを終えて

 7~18日に開催されたパラリンピックを一部だけだがTV観戦し、ここまで到達するのにはどれだけの努力や協力があったのだろうかと、つくづく考えた▼外見だけでは身障者だとわからない選手もいるが、片腕だが両腕がある人以上の回転数で泳ぐ選手や、健常者なら全身のバネを使って行うシュートを腕の力だけでこなすバスケット選手などに、何度目を見張った事だろう。陸上男子1500メートル視覚障害の部では、五輪記録を上回るタイムでゴールした選手が4人もいた▼視覚障害の部で走る選手にはガイド(ギア)が伴走するが、2人の息があわなければ絶対に良い記録は出ない。少なくともゴールの瞬間は選手の方がガイドより前にいなければならないというルールや、選手とガイドの双方にメダルが与えられる事、水泳の場合はガイドが棒状の物で触れてターン(折り返し)のタイミングを教える事なども、今大会中に初めて知った▼パラリンピック会場に来ていたブラジル人10人以上にインタビューしたという日本人が、「選手が自分の壁をどんどん超えていくところが魅力」とか「実際に足を運び、一人一人に声を届けるのが大切だと思った」「ブラジル人は頑張っている人の味方になってあげたい気持ちが強い」といった声を聞き、「良い意味で予想を裏切られた」と書いていた記事を見たのも二重の意味で嬉しい収穫だった▼地下鉄の駅などでは自分から視覚障害者に声をかけ、手を引いてあげる人の姿も心なしか増えたような。パラリンピックが、全ての人を分け隔てなく受け入れ、手を伸ばし合う世界を創り出す一助となると思えた今大会。入場券の販売数急伸にも改めて納得した。(み)

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