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ニッケイ俳壇(914)=星野瞳 選

アリアンサ         新津 稚鴎

ランプ下げ通いし句会念腹忌
アラポンガ鳴き止めば森がらんどう
木々芽ぐむ枝にぎやかに差し交わし
森の穂にアララが騒ぎ初明り
万緑の中漂へる鷺一羽
大雷の鳴り夕立のはたと止む

北海道・旭川市       両瀬 辰江

こおろぎの鳴く声失せて夜の深し
初秋刀魚振塩をして明日を待つ
園児等の帽子にあかね飛び交し
いつからか一族の長秋きびし
散紅葉ひとひら毎に色変る

【お元気の事と存じます。私も元気です。暑い夏も終って秋いよいよ冬に向かいます。もうブラジルに足を運ぶ事も無いと思います。淋しいです。大雪山に雪もふり、あちこちで初雪の知らせを聞くようになりました。間もなく雪の生活です。お元気の程お念じ申し上げています】

プ・プルデンテ       野村いさを

学園を吹き抜けて行く木の芽風
大会の句友等偲ばる素十の忌
ジョギングの行く手を阻む大南風
街路樹を補植する児等樹木の日
ゆったりと流るる春の雲に夢

サンパウロ         鬼木 順子

一陣の春風にのり落葉舞ふ
百日紅古葉落して若葉待ち
春の雨夜のしじまに降りそそぐ
心地良き素足に芝生青き踏む
ふと見上ぐ春あけぼのに弓月の出

サンパウロ         寺田 雪恵

梅漬けて晴天を待つときめきて
あをむけにして背をかく猫や春浅し
メダルの数で負けぬ日本の強さかな
セルラール盗られし孫に春寒し
風車廻る音のみ響く墓地の昼

ペレイラバレット      保田 渡南

源流はミナス連山春の江
ダムに次ぐダムに発電春の水
上流にあまたのダムを春大河
長流を果たし春江海に入る
春江や水ゆたかなる国に住み

サンパウロ         湯田南山子

聖火むかえ世紀の祭典リオの春
リオ五輪幻想夢限の開会式
リオ五輪聖火輝く大ドーム
テレビに一喜一憂リオ五輪
春さむし故国の冬を今更に

ソロカバ          前田 昌弘

馬交る牝馬涙宿らせて
松籟に聞く波の音海の日よ
春惜しむ短かき文や長き文
花冷えと云わんか雨のジャカランダ
理容学校無料散髪日月借時

ソロカバ          住谷ひさお

暁雪も忘られ筏かづら咲く
冴えかえる長引く老の春の風邪
チプアナや今朝も散歩す同じ路
花屑や見上げるほどの金鳳樹
うす闇に朧に白し月見草

サンパウロ         柳原 貞子

選挙戦云いたい放題春の雷
お隣りに赤ちゃん生れ朧の夜
年重ね自適の日々や敬老の日
敬老の日今日も新聞読みつくす

サンパウロ         小斉 棹子

礼状を書き終えて聞く春の雷
はじまりし孫等の喧嘩春の雷
素心花の花散る径の乞食かな
逝く日まで北国育ち春きざす
椰子並木結界として花の杜

サンパウロ         武田 知子

目刺焼き朝餉に〝ひとめぼれ〟も炊き
半干しの目刺は海の色残し
一連の頬被を刺しても目刺かな
春暁や言葉交はせぬ夢の人
朝未だ咲きつかれたる牛蹄花

サンパウロ         児玉 和代

空回りする老婆心亀の鳴く
飽食の目刺を恋ふているばかり
桜散る母の忌重ね我老ゆる
訥弁の目に物云ひつつ春灯し
雨音のやさしき目覚め春の雷

サンパウロ         馬場 照子

なせばなる春の曙リオ五輪
日の丸に受く顕彰の舞リオ五輪
逆境越へ大地の門出リオ五輪
原爆忌に五輪開会黙祷す
縮みたる心揺がす春の雷

ピエダーデ         小村 広江

月下香ほのかな香おり句座に満つ
朝茜生気あふるる今朝の春
遠霞探しあぐねし置き忘れ
木の芽風熟睡の嬰の寝息かな
春風や移民記念の大鳥居

サンパウロ         西谷 律子

雲捷る後追ふごとく春の月
街の灯はあかるすぎるや月おぼろ
ジョギングの緑の中の百千鳥
孫の誕生祝って買ひぬ春の蘭
春窮の国捨て若者他の国へ

サンパウロ         西山ひろ子

春夕べ記憶たどり書く日記
飲み薬一つ減りたる春の昼
早朝の輪唱の声囀れり
陽を追ふて生干しにする目刺かな
一と年を重ねて淋し南風忌

サンパウロ         新井 知里

笑うこと稽古しあって春の会
囀をこぼす庭あり早起きし
枯れ木と思いしブドウに若葉かな
風光る首都にわが子の診療所
恋人に未練残せし春の宵

サンパウロ         竹田 照子

日に四季のある如し春此の頃
春愁や今日又句友一人逝く
虎落笛窓にうなりて寝つかれず
なんとなく淋しく鳴くや夕サビア
大鷹を恐れて小鳥低く飛ぶ

サンパウロ         山田かおる

ひと文字を筆に託して春の展
恩師の忌に舞いを捧げし春の朝
春の旅高原クンニヤのラヴァンダ園
春和むむらさきラヴァンダ香に酔ひし
金龍師偲ぶ一周忌にイペー散る

リベイロンピーレス     西川あけみ

古アパートトタン屋根鳴く春の雷
素心花咲く老人ホーム静かなる
ブラジルにポケモン上陸春の雷
旅戻り目刺白飯旨きこと
物溢れ目刺旨しと食進む
荒れ畑に人影もなく囀れる

サンパウロ         大塩 祐二

季移り日永の気配日々に増し
一人食む夕餉の目刺ほろにがし
春雷にさそわれ土中の虫さわぐ
暮近し童ら嬉嬉と群すずめ
吹く風も野山も淡し木の芽時

サンパウロ         大塩 佳子

桜かと遠くにきれい牛蹄花
目刺し焼く瞼閉じれば母が居て
目覚めれば囀聞こゆ明けの空
朝寝せしか化粧朝餉はメトロ中
それぞれに一病あると春体操

サンパウロ         川井 洋子

素心花の咲ける街並みサンパウロ
丸窓のステンドグラスに春の雷
貝寄風に乗りて帰浜のジャンガーダ
風を乗り換えたんぽぽの種の旅
手に取れば母の温もり春の土

ピラール・ド・スール    寺尾 貞亮

潮干狩思い出遺し母逝きし
子を遺し親は枯れゆく冬あざみ
磯菜摘母の面影村の浜
蒸し芋目刺を添えて昼弁当
蔓サンジョン高きに咲きて自己紹介

サンパウロ         原 はるえ

美の祭典サンバで納めリオ五輪
街人の心和らぐ素心花咲く
何も無く目刺でも焼くかと母云いし
ブラジルの名を上ぐ五輪や春うらら

サンパウロ         坂野不二子

あと何年生きる知らず春愁う
知らぬ間の卆寿近きや山笑う
忘れしを笑って過ごせるのどけさや
紫に空染め地を染めジャカランダ

サンパウロ         玉田千代美

揃い立つ木の芽をほぐす日差しかな
咲く花もこぼるる花も春匂う
老いと云う癒ゆるなき身の春寒し
しなやかにゆれる柳や春を待つ

サンパウロ         日野  隆

病いし友見舞に行く度あわれみ増す
灯ろう流し俄雨にて暗闇に
露天風呂仰ぎ見る空に星の輝る
春の嵐桜の花の花吹雪
黄イペー花人の目いつくす鮮やかさ

サンパウロ         平間 浩二

鳥帰る我に故郷はすでに無き
遙かなるジャラグァの峰鳥雲に
一滴を絶やさず大河に念腹忌
移住地を隈なく行脚念腹忌
おぼろ夜の窓に灯りし子等の部屋

サンパウロ         太田 英夫

父の日や子等の都合で又の日に
父の日を知らずに居るは父一人誕生日
父の日や居眠る父に威厳失せ
父の日や財をなさねど子沢山

マナウス          東  比呂

開拓の思い出悼む樹木の日
野遊びの帰路は疲れて皆無口
より強く絆深めしピクニック
イペー咲く目抜通りの賑わえる
これからがなお大事にと老人の日
船に住む子等は大河に凧あげる
アマゾンの大河おおいきれぬ靄

マナウス          宿利 嵐舟

花霞天女の舞もあらむべし
日は落ちて野末は淡き春霞
大木になれと声かけ植樹祭
ヤッホーのこだまも返るピクニック
イペー咲き桜に見立て花見酒

マナウス          河原 タカ

足早に霞と消えし乙女らは
墓いらぬ亡夫のしるし樹木の日
ピクニック空に広げしブルーシート
イペー咲くサッカー勝利沸く街か
PKで勝利もぎとりイペー咲く
子猫寝る孫も眠りて夜が更ける

マナウス          渋谷  雅

遠霞凛と建ちたる移民の碑
手を合わす人無き慰霊碑霞中
開拓地住む人も無く霞中
霞立つ永年暮した移住地に
永年の証に植える樹木の日
捨て猫にミルクあたえる優しい娘

マナウス          橋本美代子

百年の計を子孫に植樹祭
樹木の日闇伐採のあと絶たず
今年またイペー見物間に合わず

マナウス          丸岡すみ子

歌声に森の香草の香ピクニック
弁当も空気も旨しピクニック
白イペー朝日に清く匂いたつ

マナウス          岩本 和子

別れ告ぐアンデス山脈遠霞
大橋より望む対岸朝霞
今な亡きふたおや恋し老人の日

マナウス          村上すみえ

この大橋渡れば故郷島霞む
郷愁を満たして桃色イペー咲く

マナウス          山口 くに

べた凪の江に一面朝霞
昼さがり拓魂碑の肩にタシー散る

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