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年々遠ざかるクリスマスの賑わい

 今年もクリスマス(ナタル)まであと1カ月。ショッピングセンターなどではサンタクロースや電飾も見られるが、サンパウロ市の公園などでは電飾がほとんど見られない▼聞けば、市役所が入札期間を延長しても、スポンサーがついたプロジェクトは26日に落成式が行われるイビラプエラ公園のクリスマスツリーだけらしい。しかも、このツリーもスポンサーは1社だけで、同公園のツリー作りが恒例化した02年以降で最も小さい35メートル。70メートルを超えた年もあった事を考えれば、状況の厳しさが窺われる▼スポンサーがつける飾りは171個だが、年内は市民からの寄付を受け付け、年が明けたら市役所が指定する貧しい地区のコミュニティーに寄贈する。同公園では直径2メートル半の雪の球も置き、最大5人までがその中で写真を撮る事が出来るようにするが、池の噴水に映像を映す〃光のショー〃は取りやめらしい▼これら一連の変化は皆、長引く不況が原因だ。今年は在庫一掃などのため、11月第4木曜の翌日(今年は25日)を特売日とする〃ブラックフライデー〃の名前を使った広告が10月から出回っている。自動車業界が在庫調整のための生産調整の名目で、集団休暇や自主退職者募集などの措置をとったとの記事も年中続いた▼消費者はもちろん、商店や企業も何とか年を越そうと必死にならざるを得ない中、クリスマスの贈り物もブラックフライデーを利用して購入する人が増えているとも。失業率14%という状況下、クリスマスの賑わいが年々薄らいでいるのも感じる。電飾などが見当たらない分、心の〃やりとり〃などで豊かさを演出する工夫が求められそうだ。(み)

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