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JICA=日系社会ボランティア30周年=リレーエッセイでたどる絆=第15回=ロライマからモザンビークへ

モザンビークのミネラルウォーター工場を視察中。筆者(左)。継松医務官(左から2人目)と

モザンビークのミネラルウォーター工場を視察中。筆者(左)。継松医務官(左から2人目)と

 ブラジルを離れて、3年余りの月日が経つ。任地ロライマ州で過ごした日々を懐かしく想うものの、地理的な遠さから、再訪はなかなか叶わない。
 日系社会青年ボランティアとしてサンパウロから5千キロ、ブラジリアから3千キロ離れた、赤道直下の州都ボアヴィスタの農業試験場で、日系社会の方々に助けられながら生活し、進捗に悩みながら活動に臨んだ二年間だった。
 試験場の先輩たちと栽培試験に励んだ水稲特別種の内、短粒のジャポニカ米は正式にブラジル産種として認められ、現在は「BRS」の冠を持った米の種類となり、任地では既に市場商品となっている。この米がマナウス、ベレンと北部市場に行き渡り、南部に近づく日は来るのだろうか。
 ジャポニカだけではなく、普通種米やこの土地の由緒ある固有種、リゾットに会うアルボリオ種やアジア由来の香り米、赤米、黒米、モチ米と、この州が「コメどころ」として、稲作が州経済の拠りどころの一つとして確立されることを期待する。
 これらの米が、国境近いベネズエラ、ガイアナを経由して、カリブ海で船積みされることは可能だろうか。
 日頃の活動はブラジル人と一緒のチーム。日本語を話すことはなかった。とはいえ、日本語教師の他のボランティアと比べて、ポルトガル語を話すことは多かったか? 多くを語らずに水田内の雑草取りに励み、研究室で精米機に向かい合う日々も多く過ごした。
 日本に帰国後すぐにJICAにお世話になることが決まり、およそ半年間、東京本部のアフリカ部でモザンビークでの国際協力について学び、その後モザンビークに赴任、企画調査員として一年半を過ごした。
 農業・水産分野を担当し、稲作や魚市場建設、科学技術協力のプロジェクトを見た。灌漑の専門家や普及員対象の日本での研修も担当した。大変だったが、個人的には学ぶことの多い、充実した日々だった。
 JICA事務所には、東京在勤時に結婚した家内共々赴任した。そして家内は、私の離任2カ月前に帰国した。何故か。子供を授かったからだ。彼は慌てん坊で、予定より十日早く生まれた。
 その日は私の帰国翌日で、ちょうど東京本部に帰国報告に行っており、出産に立ち会えなかった。生まれてくるまで、せめて半日、母のお腹の中でゆっくりしていてほしかった。
 その後およそ10カ月間、次の仕事に就くまで、妻子と一緒の時間を過ごすことができた。私の就職2カ月前に家内が先に日本で仕事に就き、息子は保育園に通い始めた。
 私はこの6月末、再びモザンビークの首都マプトに向かった。単身赴任だ。日本大使館の専門調査員として、この国の経済状況を、新聞記事などを追ってフォローしている。これまで新聞をしっかりと読んでいなかったが、読んでみると面白く、色々と勉強になる。
 早いもので赴任して間もなく5カ月が経とうとしている。早く、しっかりとした戦力となれるよう頑張り、またいずれブラジルの地を踏みたい。ロライマ産の米を味わいたい。


鷹尾 保馬(たかお・やすま)

【略歴】島根県出身。45歳。日系社会青年ボランティアとしてロライマ州ボアヴィスタ市ブラジル農牧公社に2011年7月から13年7月まで派遣され、食用作物・稲作栽培についての活動に従事。その後、JICA派遣によりモザンビークで国際協力。16年6月からモザンビークで日本大使館の専門調査員として滞在中。

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