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ジョナタン「最後の1年」決意=水野龍の孫、浜松でプレー=白球の夢追い高知から移籍

投球練習に励むジョナタン選手(球団提供)

投球練習に励むジョナタン選手(球団提供)

 第1回移民船を運航させた「移民の祖」水野龍の孫、ジョナタン正一(せいいち)さん(20、三世)が「最後の1年」の決意で、静岡県で白球を追っている。2014年3月に野球渡航し高知の球団に所属していたが、1年半を過ごした後、浜松へ移籍、4年目の正念場だ。仕事のかたわら、現地のクラブチームで野球に励む日々を送る。

 クリチバ在住の父、龍三郎さんから教えられた連絡先に連絡すると、ジョナタンさんから返事が返ってきた。「浜松で野球をがんばっています」。大きなブラジル人コミュニティーが助けとなっているようで、充実した生活を送っている様子だ。
 現在の所属先は、社会人によるアマチュア硬式野球チーム「浜松ケイ・スポーツBC」。全日本クラブ選手権では、05年のベスト4が最高という全国有数の球団だ。トヨタ自動車やヤマハなど企業チームが参加しない大会での成績だが、前身の河合楽器はそんな企業チームを含む社会人大会で全国優勝もした。
 以前は、プロ野球独立リーグ「四国アイランドリーグplus」の「高知ファイティングドッグス」に在籍し、野球づけの日々を過ごした。訪日した最初は「慣れるまで苦労した」と言うが、「指導を受けたコーチや、支援してくれた市民に感謝。浜松移籍にも後押しがあった」と謙虚にお礼を重ねる。
 浜松での新生活は15年10月から。球団公式サイトにも、「水野ジョナタン正一、投手、背番号11、身長185センチ、80キロ」と記載がある。球速は最大138キロを記録するという。
 電話取材にジョナタンさんは、「最近は肘を痛めてしまい実戦から遠ざかった。もっと筋力が必要」と話し、本格的なシーズンが幕を開ける3、4月ごろまでに、恵まれた体格をさらに引き締めたい思いだ。
 1月は残業が多く、午前8時から午後8時までバイク工場で仕事優先の日々だったが、普段は毎日あるチーム練習に参加する。「ブラジルでは趣味が転じてプレーする選手が多い。日本だと高校でも甲子園を目指し、社会人も本気で取り組む。みんながプロ野球を目指す気持ちを感じる」。そんな環境に身をおき、刺激を受けている。
 ただし日本での挑戦は今年が最後になるかも。「今年一杯がラストチャンスと思っている。どこまでいけるか。セレソン(ブラジル代表)も目指したいしもっとがんばりたい」と決意を明かした。
 「負けないくらい有名になりたい」という祖父は、彼にとっても「偉大な人物」。その存在にどれだけ近づけるか。進退をかけた一年を前に「心から野球をがんばっています。応援よろしくお願いします」と、コロニアにも声援を呼びかけた。

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