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「日系組合、ぜひ永続を!」=全中の萬歳顧問が初来伯=コチア青年ら農家に檄とばす

挨拶するJR全中の萬歳顧問

挨拶するJA全中の萬歳顧問

 日本の農業組合を束ねる独立的な総合指導機関「全国農業共同組合中央会」(以後、JA全中)の萬歳章顧問(71、新潟県)が4日朝、サンパウロ市に到着した。午前11時からさっそく、ブラジル新潟県人会(南雲良治会長)とコチア青年連絡協議会(前田進会長)が共催する歓迎会に出席し、40人あまりと2時間ほどなごやかに歓談した。

 萬歳さんは全中の会長として、国内の農業者を守るためにTPP加盟反対の立場をとり、安倍晋三首相と丁々発止やり合い、2015年8月に突然辞任したことで知られる。その姿がNHKのニュースで再三流れたのは記憶に新しい。今回は、サンパウロ市で開催される国際協同組合同盟(ICA、協同組合の世界的頂点組織)の理事会に出席するために、協同組合研究部長の前田健喜主任研究員と共に来伯した。
 コチア青年の西尾雅夫(のりお)さんの司会で始まると、前田会長が「我々コチア青年2508人は全中に送り出してもらった。いわば子供のような存在。2年前のコチア青年60周年の前にも招待状を持参して、お伺いしたら快く会ってくれ、代表者を式典に送っていただいた。今日は心から歓迎したい」と感謝の言葉をおくった。
 萬歳顧問は「南雲会長は可茂農林高等学校の10年先輩。家内の従兄弟の鈴木さんをも含め、樋口さんら諸先輩にお会いできて本当に嬉しい」とあいさつした。
 萬歳顧問は今回が初来伯。本紙の取材に対し、「コチア産業組合中央会は残念ながら解散してしまった。だがかつて日本移民は日本式の協同組合を持ち込んで、南米一の存在に育てたと聞いている。今も残る日系組合をぜひ永続させてほしい。また二世、三世の皆さんには、日本由来の協同精神という原点を忘れずに、さらに発展してほしい」とのべた。
 当日は萬歳顧問が東京農大卒である関係から、東京農大会の原島義弘会長、石川準二相談役も出席した。翌5日には農大会館に迎えて歓迎会を準備している原島会長は「顧問は六つ違いの後輩にあたります。やはり農大生が日本農業界の要所要所を支える大黒柱になっていることを実感しました。お会いできて大変名誉なこと」と喜んだ。
 会場となったニッケイパラセ・ホテルには、萬歳さんの妻の従兄弟にあたる鈴木年栄さん(としえい、77、新潟県)も駆けつけた。原沢和男さんの呼び寄せで、地元の名門校・可茂農林高等学校から1959年に移住した一人だ。
 鈴木さんに萬歳さんの印象を尋ねると、「前々から親戚として話には聞いていたが、今回初めてお会いした。想像どおり肝っ玉の太い人という感じ。NHKで見た通りだ」と感心した様子。
 6日には文協国士館スポーツセンター内のコチア青年の森で、萬歳顧問による記念植樹が行われた。7、8日にはサンパウロ市のルネッサンス・ホテルのJCA理事会に出席し、9日に帰路に付く予定。

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