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《ブラジル》「賢人会議」で重要課題を議論=交通・輸出回廊の整備を優先=経済連携協定締結を目指す

テメル大統領に提言書を渡した賢人会議の皆さん(Foto: Marcos Corrêa/PR)

テメル大統領に提言書を渡した賢人会議の皆さん(Foto: Marcos Corrêa/PR)

 リオ市で5日、『第7回日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議』が行われた。同会議では日本商工会議所(東京都千代田区)の三村明夫会頭(新日鉄住金(株)相談役名誉会長)やカルロス・マリアーニ・ビテンクール石油化学工業連盟会長が座長を務め、両国の経済界主要人物らが日伯の経済関係強化を目的に最優先課題について議論した。参加者らは都市交通などの公共施設(インフラ)問題、日伯経済連携の推進などについて話し合い、翌日6日にテメル大統領に提言書の提出と説明を行った。

 

 日本からはトヨタ自動車(株)代表取締役会長の内山田竹志氏、三井物産(株)代表取締役会長の飯島彰己氏、林信光JBIC専務取締役、釜和明(株)IHI相談役、榊原定征経団連会長が参加した。

 ブラジル側からもロベルト・ロドリゲス元農務大臣、マリア・バストスBNDES総裁、ヴァーレ社のムリーロ・フェレイラ社長、コザン社のルーベンス・オメット社長らが出席した。

 提言書では2016年9月から建設工事が中止しているサンパウロ市地下鉄6号線(橙)の早期問題解決、内陸部で生産される穀物をマラニョン州イタキ港から輸出するためのマトピバ(MATOPIBA=マラニョン、トカンチンス、ピアウイ、バイーア)地域の穀物輸送回廊開発事業の推進がインフラに関する共通優先課題として出された。

 賢人会議の提言書では、テメル大統領が提唱する投資パートナーシップ計画(PPI)が始動したにも関わらず、日本・海外の事業者や投資家の参画はまだ限定的と分析し、今後は、共通課題の解決を早期に進めて投資の誘致をするよう申し合わされた。

 また日本とメルコスール間の「経済連携協定(EPA)」を目指し、2012年から日本の外務省とメルコスール関係者らが開催している貿易・投資促進の方策検討のための「日・メルコスール経済関係緊密化のための対話」の活性化を求めた。

 今年12月で終了する自動車技術革新政策(Inovar Auto)の代替策を、国際的競争力強化につながるものにすることを期待した。さらに「ブラジル・コスト」の低減を目指し、ブラジル日本商工会議所が取り組む「ブラジルへのさらなる投資実現に向けた政策提言活動(AGIR)」へ支持を示した。

 また、南米最南端地域(コーノスール)が農業、エネルギー、鉱業などの分野において高い潜在的な可能性を持つと考え、日伯亜間の討議を重要視した。

 提言書に対し、ウェリントン・モレイラ・フランコ大統領府事務局長官からは、「テメル大統領就任後、すぐに訪日できたことは日伯の絆の表れ。日本からブラジルへのインフラ投資増大に強く期待しており、ブラジルの成長へ日本の貢献を望んでいる」と前向きなコメントが寄せられた。

 佐藤悟駐伯大使は「中身の濃い建設的な議論だった。両国間の経済協力の可能性を再確認できた」と賢人会議について語った。

 

 

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 「日伯戦略的経済パートナーシップ賢人会議」は、もともとは小泉首相が2004年に来伯時、ルーラ大統領と日伯首脳会議で話し合って生まれた「日伯21世紀協議会」から派生した経済を専門に話し合う会議だ。第1回は07年5月にサンパウロ市で、第2回が同年7月に東京、第3回はすこし飛んで08年10月リオ、さらに13年。その後は15年、16年、17年と連続して開催されている。その間、ブラジルも大統領がルーラ、ジウマ、テメルとめまぐるしく変わり、政策が一定せず、しかもラヴァ・ジャット作戦…。とはいえ、これだけの大物が7回も時間をかけて話し合っているのだから、そろそろ成果を出してほしいところだが。

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